万葉集巻第七1127-1129番歌(琴取れば嘆き先立つ)~アルケーを知りたい(1335)

▼井戸から湧く水の清らかさを讃える歌二首。ひとつは滋賀県大津市の走井の水。東海道五十三次のひとつ。もうひとつは、石で囲った井戸という意味の石井。そこから汲み出す水。日本は言霊と水の幸う国であることよ。1129番は、楽器の倭琴やまとごとをしげしげと眺めて詠う歌一首。

 井を詠む
落ちたぎつ走井水の清くあれば 置きては我れは行きかてぬかも 万1127
*勢いよく流れ落ちる走井の水がとても清らかなので、じっくり眺めないまま通り過ぎるわけには参りません。

馬酔木なす栄えし君が堀りし井の 石井の水は飲めど飽かぬかも 万1128
*馬酔木のように栄えた貴方様が堀った井戸。その石井の水はいくら飲んでも飽きません。

 倭琴を詠む
琴取れば嘆き先立つけだしくも 琴の下樋に妻や隠れる 万1129
*琴を手にすると嘆き節が湧いてくるのですけど、ひょっとして琴の中に妻が隠れているのでしょうか。

【似顔絵サロン】巻7と同じ時代に起こった長屋王の変に関係する人々から:黄文王 ぶみのおおきみ ? - 757年 長屋王の子。長屋王の変では、母が藤原不比等の娘であったことから同母兄弟の安宿王・山背王とともに罪を免れた。757年、橘奈良麻呂の乱に連座。久奈多夫礼(くなたぶれ=愚かな者)と改名させられた後、杖で打たれる拷問で刑死。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

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