万葉集巻第七1151-1156番歌(楫の音ぞほのかにすなる)~アルケーを知りたい(1340)
▼今回も大阪の住吉の歌。海辺に立って波を見たくなる。
大伴の御津の浜辺をうちさらし 寄せ来る波のゆくへ知らずも 万1151
*大伴氏の御津の浜辺を波がざんざと寄せては返しています。波の行方は誰も知りません。
楫の音ぞほのかにすなる海人娘子 沖つ藻刈りに舟出すらしも 一には「夕されば楫の音すなり」といふ 万1152
*楫の音がかすかに聞こえてきます。漁師たちが沖へ藻を取るために舟を出しているようです。「夕方になると楫の音がします」
住吉の名児の浜辺に馬立てて 玉拾ひしく常忘らえず 万1153
*住吉の名児の浜辺で馬を駐めて玉を拾いました。この思い出は忘れられませんね。
雨は降る仮廬は作るいつの間に 吾児の潮干に玉は拾はむ 万1154
*雨は降るし仮廬は作らないといけない。忙しいなか、どのタイミングで吾児の潮干で玉を拾えば良いのでしょうか。
名児の海の朝明のなごり今日もかも 磯の浦みに乱れてあるらむ 万1155
*名児の海の朝明の潮だまりが残っています。今日も磯の浦のあちこちに残っています。
住吉の遠里小野の真榛もち 摺れる衣の盛り過ぎゆく 万1156
*住吉からちょっと離れた里の小野にあるハンの木。その染料で染めた衣の色が薄くなっています。
【似顔絵サロン】巻7と同じ時代に起こった長屋王の変に関係する人々から:新田部親王 にいたべしんのう ? - 735年 天武天皇の皇子。長屋王と皇親政権。長屋王の変では舎人親王らと罪の糾問に当たる。子が道祖王。邸宅の土地を鑑真に提供、唐招提寺になる。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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