万葉集巻第七1173-1177番歌(足柄の箱根飛び越え)~アルケーを知りたい(1344)

▼今回の五首、下の句がよきよき。1173番、言葉は通ふけれども舟が通はない。1175番、鳥は騒がしいけど貴方様からの連絡がない。1176番、飛ぶ鶴を見て大和し思ほゆ。1177番、うろうろしながら見れど飽かぬかも。イイですねと思ふ。

飛騨人の真木流すといふ丹生の川 言は通へど舟ぞ通はぬ 万1173
*飛騨の人が真木を運搬のために流すという丹生川。岸の間で掛け声は届くけれど舟は通わない。

霰降り鹿島の崎を波高み 過ぎてや行かむ恋しきものを 万1174
*鹿島崎は霰が降って波も高いから通り過ぎるしかありません、寄りたい気持ちなのだけれども。

夏麻引く海上潟の沖つ洲に 鳥はすだけど君は音もせず 万1175
*海上潟の沖のほうの洲で鳥たちは騒いでいます。けれども貴方様からは音沙汰無しです。

足柄の箱根飛び越え行く鶴の 羨しき見れば大和し思ほゆ 万1176
*足柄の箱根を軽々と飛び越えて行く鶴をうらやましく眺めながら大和を偲んでいます。

若狭にある三方の海の浜清み い行き帰らひ見れど飽かぬかも 万1177
*若狭の三方の海の浜の清らかなこと。行ったり来たりしながら眺めて飽きません。

【似顔絵サロン】同時代の乱、藤原広嗣の乱の関係者:藤原 綱手 ふじわら の つなて ? - 740年 奈良時代の廷臣・武人。藤原宇合の四男。兄・広嗣の乱では5000の兵を率いて豊後国から進軍。大野東人率いる官軍に敗北。兄と共に死罪(斬刑)。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

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