万葉集巻第七1218‐1222、1194‐1195番歌(黒牛の海紅にほふ)~アルケーを知りたい(1348)
▼番号は飛んでいるけど一連の歌7首。作者は中臣鎌足の次男、藤原不比等らしい。十代の時期に苦労した環境(と本人の資質)が、優しいおっとり味がする歌の詠み手にした、と思わせる。1218番の黒牛の海は、和歌山県海南市にある黒江湾。
黒牛の海紅にほふももしきの 大宮人しあさりすらしも 万1218
*黒牛の海が紅色に輝いている、と思ったら宮廷の女官たちが漁をしているらしいです。
若の浦に白波立ちて沖つ風 寒き夕は大和し思ほゆ 万1219
*若ノ浦に白波が立っています。沖の風が寒い夕方は故郷の大和の国を思い出します。
妹がため玉を拾ふと紀伊の国の 由良の岬にこの日暮らしつ 万1220
*妻の土産にと思って玉を拾い集めていると、紀伊の国の由良の崎で一日が過ぎてしまいました。
我が舟の楫はな引きそ大和より 恋ひ来し心いまだ飽かなくに 万1221
*私が乗っている舟を動かさないでください。この風景に憧れてはるばる大和から来た気持ちを満たすため。
玉津島見れども飽かずいかにして 包み持ち行かむ見ぬ人のため 万1222
*玉津島はいくら見ても見飽きない。どうやってこの景色を土産にしようか、見ていない人のために。
紀伊の国の雑賀の浦に出で見れば 海人の燈火波の間ゆ見ゆ 万1194
*紀伊の国の雑賀浦に出て見ると、漁師の燈火が波の間に見えます。
麻衣着ればなつかし紀伊の国の 妹背の山に麻蒔く我妹 万1195
右の七首は、藤原卿が作。いまだ年月審らかにあらず。
*麻の服を着ると、紀伊の国の妹背山で麻の種蒔きをする我が妻を懐かしく思い出します。
【似顔絵サロン】
同時代の乱、藤原広嗣の乱の関係者:小野 東人 おの の あずまひと ? - 757年 奈良時代の貴族。740年、藤原広嗣の乱に連座し杖罪100回、伊豆国へ流罪。757年、橘奈良麻呂の乱に連座し杖で打たれる拷問の末、獄死。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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