万葉集巻第七1140-1142番歌(命をし幸くよけむと)~アルケーを知りたい(1338)
▼今回の3つの歌は、その人のその時の経験を述べたもの。教訓があるわけでもなく、だから何?と反応しても良さそうな作品。でも、ああそうなんだ、そういうこともあるのか、と頷きながら味わうタイプの作品なのだろう。まだ後者の反応の域には遠い私なれど、こういう歌もあり、そういう反応もあり、ということは分かるような気がする。 摂津作 しなが鳥猪名野を来れば有馬山 夕霧立ぬ宿りはなくて 一には「猪名の浦みを漕ぎ来れば」といふ 万1140 *猪名野までやって来ると有馬山が見えます。夕霧が立ち始めたけど、まだ宿が見つかっていません。 武庫川の水脈を早みと赤駒の 足掻くたぎちに濡れにけむかも 万1141 *武庫川の流れが早いので、赤馬の足から飛び散る水しぶきでこっちまで濡れちまいました。 命をし幸くよけむと石走る 垂水の水をむすびて飲みつ 万1142 *健康長寿を祈って勢いよく落ちる滝の水を両手で飲みました。 【似顔絵サロン】巻7と同じ時代に起こった長屋王の変に関係する人々から: 藤原 宇合 ふじわら の うまかい 694年 - 737年 奈良時代の公卿。藤原不比等の三男。藤原四兄弟の三男。藤原式家の祖。729年、長屋王の変のさい、宅を包囲した。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7