大伴旅人の万葉集315-316番歌~アルケーを知りたい(1084)

▼今回は聖武天皇が即位した724年、59歳の旅人が作った歌。万葉集に収められた旅人の歌で最初に出てくる作品。
▼「山は貴く、水は清く、天地長久、万代不改」などの言葉で幸いを祈る良い言葉遣いのお手本。聞いていると気持ちが澄んでくる。

大伴旅人の和歌と*勝手に解釈
暮春の月に、吉野の離宮(とつみや)に幸(いでま)す時に、中納言大伴卿、勅(みことのり)を奉(うけたまは)りて作る歌一首 并せて短歌 いまだ奏上を経ぬ歌
み吉野の 吉野の宮は 山からし 貴くあらし 水からし さやけくあらし 天地と 長く久しく 万代(よろづよ)に 改(かは)らずあらむ 幸(いでま)しの宮 万315
*吉野の宮においては、山は貴く、水は清いものです。吉野の宮が天地長久、万代にわり変わらず幸いの宮でありますように。

反歌
昔見し象(きさ)の小川を今見れば いよよさやけくなりにけるかも 万316
*昔見た象の小川を今見ると、いよいよ清らかさが増しています。

大伴 旅人 おおともの たびと 
665天智天皇4年 - 731天平3年8月31日 66歳。
飛鳥時代~奈良時代初期の公卿・歌人。百人一首6番歌の歌人・大伴家持は息子。
728(63) 大宰府に赴任、山上憶良・満誓らと筑紫歌壇を形成。

【似顔絵サロン】















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA

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