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万葉集巻第1_70番歌(大和には鳴きてか来らむ)~アルケーを知りたい(1775)

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▼今回の歌は、参考にしている本の脚注によると、701年に文武天皇が吉野に行幸したとき、従った高市黒人が詠った作品だ。太上天皇とは前天皇のこと。で、701年の天皇は文武天皇。ここで?になった。文武天皇の前の天皇は持統天皇だから、太上天皇は持統天皇のことでは? 万葉では5W1Hが分からない歌が少なくない。ん?となる、これがまた良い。万葉の味。 太上天皇、吉野の宮に幸 (いでま) す時に、 高市連黒人 が作る歌。 大和には鳴きてか来らむ呼子鳥 象 (きさ) の中山呼びぞ越ゆなる  万70 *大和では呼子鳥は来て鳴いているでしょうか。ここ象の中山では呼子鳥が鳴きながら山越してます。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_69番歌(草枕旅行く君と)~アルケーを知りたい(1774)

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▼今回は甘いトークの歌。時々ハニートラップという言葉を聞く。トラップにかかる場面では、69番のような表現が出て来そう。この歌で女性は「そうと知っていればこんなことをして差し上げましたのに」と言うだけ。言うだけのリップサービス。でも言われたほうは嬉しくなるのだ。ひっかかってしまうのも無理ないか。 草枕旅行く君と知らませば 岸の埴生ににほはさましを  万69 *貴方様が旅のお方と知っていれば、岸の埴生で衣を染めて差し上げたものを。  右の一首は 清江娘子 。姓氏未詳。  長皇子に進 (たてまつ) る。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_68番歌(大伴の御津の浜にある)~アルケーを知りたい(1773)

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▼今回の歌の趣旨は、海岸を歩いて貝を見つけて家で待つ妻を思い出した、というもの。「忘れて思へや」という不思議な言い方をしている。忘れて思ふ、という思い方。忘れてないわけだ。奥深い表現。作者の身人部王は「風流侍従の一人」という。万葉時代も風流は一風変わってるわ。 大伴の御津の浜にある忘れ貝 家にある妹を忘れて思へや  万68 *御津の浜で忘れ貝を見つけました。家で私の帰りを待つ妻を忘れることがあるものか。  右の一首は 身人部王 (むとべのおほきみ) 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_67番歌(旅にしてもの恋しさに)~アルケーを知りたい(1772)

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▼天皇の行幸に同行する官人の歌。家が恋しい、鶴の声も聞こえない、と詠う。マイペースだ(笑)。 旅にしてもの恋しさに鶴 (たづ) が音も 聞こえずありせば恋ひて死なまし  万67 *旅に出ていてもの恋しいとき、鶴の声も聞こえないとなると、家が恋しくて死にそうです。  右の一首は 高安大島 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_66番歌(大伴の高石の浜の)~アルケーを知りたい(1771)

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▼今回は、太上天皇(文武天皇)が難波に行幸したとき同行した宮人の歌。旅先では寝にくい、家が恋しいと詠っている。やはり枕が違うとダメです、という。確かに、松の根ではしっくり来ないのだろう。 太上天皇、難波の宮に幸す時の歌 大伴の高石の浜の松が根を 枕き寝れど家し偲はゆ  万66 *高石の浜の松の根を枕にして寝ています。やはり家が恋しいです。  右の一首は 置始東人 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_65番歌(霰打つ安良礼松原住吉の)~アルケーを知りたい(1770)

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▼万葉集は全部漢字でひらがながないので、読むのは大変なことだったと思う。今回の65番歌は漢字が多いので、これだけでも読み解く難しさが分かりました。 長皇子の御歌 霰打つ安良礼松原住吉 (あられまつばらすみのえ) の 弟日娘子 (おとひをとめ) と見れど飽かぬかも  万65 *霰が降って打ちつける安良礼松原住吉と弟日娘子は、見ても見ても見飽きることがありません。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_64番歌(葦辺行く鴨の羽交ひに)~アルケーを知りたい(1769)

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▼寒い日の鴨の歌。多摩地域を流れる野川。寒い日、岸で14羽の鴨が同じ方を向いてうろうろしている様子を見ました。羽交に霜が降りるほどの冷え込みではありませんでした。鴨は存在そのものが歌になってるようです。  慶雲三年丙午に、難波の宮に幸す時、 志貴皇子 の作らす歌 葦辺 (あしへ) 行く鴨の羽交 (はが) ひに霜降りて 寒き夕は大和し思ほゆ  万64 *葦辺を行く鴨を見ると、羽の合わさったところに霜が降りています。こんな寒い夕べは大和を思い出します。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1