万葉集巻第6_913番歌(味凝りあやにともしく)~アルケーを知りたい(1792)
▼「あやにともしく」の枕詞「味凝(うまこ)り」で始まる長歌。両方、意味が分からんのだが、響きから非日常的なことを詠う予感がする。味凝の文字を見ると、なぜか寒天をイメージしてしまう。凝固させて味わうものだからか。 ▼この歌で車持千年さんは、吉野を一人で旅しているので、山や川、朝霧や蛙の鳴き声に触れた心象を誰かと分かち合えないのが残念、と詠う。SNSがあれば写真をつけて発信しているのは間違いない。 車持朝臣千年 が作る歌一首 幷せて短歌 味凝 (うまこ) り あやにともしく 鳴る神の 音のみ聞きし み吉野の 真木立つ山ゆ 見下ろせば 川の瀬ごとに 明け来れば 朝霧立ち 夕されば かはづ鳴くなへ 紐解かぬ 旅にしあれば 我のみして 清き川原を 見らくし惜しも 万913 *吉野の山から見下ろすと朝は霧、夕がたは蛙が鳴いている。ひとり旅の途中なので、清らかな川原を見た印象を人と分かち合えないのが残念だ。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6