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万葉集巻第7_1130番歌(神さぶる岩根こごしき)~アルケーを知りたい(1949)

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▼今回の歌の末尾が「悲しも」。なぜ吉野の水分山を見ると悲しくなるのだろう。悲しい、の意味が 伊藤博訳注によると 「悲しいまでに身が引き締まる」さま、万葉百科によると「切ないこと」 を言う。どうやら「悲し」は複雑な味を表す言葉だ。日本の風土、人、歴史から生えて来た言葉なんだな、と思った次第。  吉野作 神さぶる岩根こごしきみ吉野の 水分山を見れば悲しも  万1130 *神さびた様子のごつごつした岩がある吉野の水分山。ここを見ると身が引き締まる思いです。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1129番歌(琴取れば嘆き先立つ)~アルケーを知りたい(1948)

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▼ 今回は 楽器の音を出す前に嘆きが先立つ、という歌。 どう解釈するのが正解なのか分からないけど、作者の気持ちが分かるような気がする歌。琴のボディの空間は霊魂が宿る場所と思われていたという。楽器を鳴らそうという時間はそれまでの時間の流れとちょっと違う。楽器を前にしたその瞬間、心で思っていたことがほろりと出て来る。レッスンだと、先生から集中しなさい!と注意される場面だ(笑)。  倭琴 (やまとこと) を詠む 琴取れば嘆き先立つけだしくも 琴の下樋 (したび) に妻や隠れる  万1129 *琴を手に取ると音より先にため息が漏れる。もしかすると琴の中に妻が隠れているのだろうか。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1128番歌(馬酔木なす栄えし君が)~アルケーを知りたい(1947)

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▼前回は 走井 (はしりゐ) の水、今回は石井 (いしゐ) の水。飲んでも飽かない、おいしい水。今回の歌のすごいのは、井戸を掘った人のことを詠い込んでいる点。その人物を馬酔木なす栄えし君、と讃えている。感謝の気持ちが伝わる歌は読めど飽かぬかも。 馬酔木 (あしび) なす栄えし君が掘りし井の 石井の水は飲めど飽かぬかも  万1128 *馬酔木のように栄えた貴方様が掘った井戸の石井の水は美味しくて飲み飽きません。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1127番歌(落ちたぎつ走井水の)~アルケーを知りたい(1946)

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▼今回の歌の「走井の水の清くあれば」を見て、 実家の井戸を思い出した。子どもの頃はクラシックな形をした鋳鉄製の手押しポンプで水を汲んでいた。そのポンプが自分にとっての水汲みポンプ原型なので、その後登場するスマートなポンプやましてやモーターのポンプを見ると、こいつらは果たしてデザインの進化と言えるのだろうか、とか思った。実際は効率もよくて進化以外の何物でもないんだけど。で、今回の歌の走井の井戸はポンプではなくオケで汲み上げる方式だろうが、これがまた良いんだなあ。井戸でスイカを冷やすときオケを使うんだけど。万葉集の歌で、夏の涼をとるのに井戸水を使うという作品あるのかな。  井を詠む 落ちたぎつ走井 (はしりゐ) 水の清くあれば 置きては我れは行きかてぬかも  万1127 *流れ落ちる走井の水が清らかなので、素通りすることができません。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1126番歌(年月もいまだ経なくに)~アルケーを知りたい(1945)

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▼今回の歌は、川に石を並べてぴょんぴょんと飛んで向こう岸に跳べるようにしたのだけど、しばらくぶりに再訪するとその石がなくなっている、という内容。子どもの頃、川辺で石ころを並べて防波堤を築いたり、海岸で砂のお城を作ったなあ。思い出したわ。こういうのはたちどころに無くなる。今回の歌もそれと似たような気持ちじゃんと嬉しくなった。 年月もいまだ経なくに明日香川 瀬々ゆ渡しし石橋もなし  万1126 *それほど年月が経っていないのに明日香川の瀬を渡る置き石がなくなっています。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1125番歌(清き瀬に千鳥妻呼び)~アルケーを知りたい(1944)

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▼今回は「故郷を思ふ」歌。清らかな川、瀬の流れ、山で響く千鳥の鳴き声。そこで空気を吸い込みながら、故郷を神なびの里、と詠う。日本そのものが神なびの里、と思ふ。  故郷を思ふ 清き瀬に千鳥妻呼び山の際に 霞立つらむ神なびの里  万1125 *清らかな流れの瀬で千鳥が妻を呼んでいる。山の際では霞が立っている。神なびの里です。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1124番歌(佐保川に騒ける千鳥)~アルケーを知りたい(1943)

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▼夜、千鳥の鳴き声が聞こえると寝るに寝られない。子どもの頃、親戚の家にお泊りに行って夜、しくしく泣いて、家に送り返してもらったことがあるのを思い出した。我ながら情けないやつだった。今、1124番を見て、思い出しました。 佐保川に騒ける千鳥さ夜更けて 汝が声聞けば寐寝かてなくに  万1124 *佐保川で鳴き声をさかんに立てる千鳥よ。夜遅くなってから鳴くと寝ようにも寝られなくなる。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7