投稿

万葉集巻第7_1138番歌(宇治川を舟渡せをと)~アルケーを知りたい(1957)

イメージ
▼今回は、渡し舟の乗り場の様子が伝わってくる歌。渡し場に行っても舟がない。おーいと呼びかけても返事がない。舟がこちらに来る気配もない。ったく困ったなー的な状況。昔、バス停に来たもののバスが行ってしまったのか待てば来るのか分からなくて困っていたのを思い出した。乗り物とは昔も今もそういうものらしい。でもそんなスケッチが万葉歌になるんだ、とおどろいた。 宇治川を舟渡せをと呼ばへども 聞こえずあらし楫の音もせず  万1138 *宇治川の渡し舟を呼んでも船頭に聞こえてないらしい。楫の音もしない。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1137番歌(宇治川の譬への網代)~アルケーを知りたい(1956)

イメージ
▼今回は読み手が自由に解釈できる譬喩の歌。例えば、男と女の距離の詰め方。例えば、クセの強い企画の募集。歌じたいは、私がいるじゃないか、他は要らないじゃないか、という自分アピ。自分以外を木っ端扱いして敵を作るリスクが、これまた香辛料として効いている。 宇治川の譬 (たと) への網代我れならば 今は寄らまし木屑 (こつみ) 来ずとも  万1137 *宇治川の象徴の網代。私ならとっくに捕まってる。木っ端は来なくてもよい。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1136番歌(宇治川に生ふる菅藻を)~アルケーを知りたい(1955)

イメージ
▼家づと、というと家に持ち帰るお土産。今回の歌の下の句に「つとにせましを」の「つと」がそれ。電通大プログラミング教室では学生講師やOBが遊びに行った先でお菓子を「つと」にして持って来てくれる。つと。心温まります。 宇治川に生ふる菅藻 (すがも) を川早み 採らず来にけりつとにせましを  万1136 *宇治川の流れが早いのでお土産にするつもりだった菅藻が採れませんでした。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1135番歌(宇治川は淀瀬ならかし)~アルケーを知りたい(1954)

イメージ
▼今回は吉野作につづく山背作五首の一首目。宇治川で働いている漁師たちのスケッチ。網代を調べてみた。網の代わりで網代というそうだ。魚が泳いでくる道に竹や葦で作った装置(簀)をしかけておいて捕獲するやり方。仕掛け担当、移動用の舟担当に分かれて仕事をしてたのだろう。  山背 (やましろ) 作 宇治川は淀瀬 (よどせ) なからし網代人 (あじろひと)  舟呼ばふ声をちこち聞こゆ  万1135 *宇治川には歩いて渡れれるところがないらしい。網代をかける人が移動するときに舟を呼ぶ声があちこちから聞こえる。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1134番歌(吉野川巌と柏と)~アルケーを知りたい(1953)

イメージ
▼今回も吉野讃歌。吉野作と題した5首の締めの作品。吉野川の岩と樹木に永遠を感じ、自らも通い続けたいと述べる歌。岩と樹木で作った庭園を思うと、庭園の主は、この歌の作者の気持ちを庭で表現したのかも知れないな。なんとも贅沢なことだ。 吉野川巌と柏と常盤なす 我れは通はむ万代までに  万1134 *岩と柏の木がいつまでも変わらないように、私も吉野川にこれからも通います。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1133番歌(すめろきの神の宮人)~アルケーを知りたい(1952)

イメージ
▼吉野詣では、場の良さだけでなく、代々の宮人に倣う気持ちがあるようだ。ここで吉野の盟約があったのだなあ、とか、持統天皇は30回以上行幸したのだなあ、とか、農繁期の行幸は民の負担になるからお止めくださいと諫めた 三輪高市麻呂は偉いやっちゃなあとか。自分がいろんなことに「いやとこしへに我かへり見む」のを忘れていた、と怖くなる。 すめろきの神の宮人ところづら いやとこしくに我れかへり見む  万1133 *代々の大君に仕えてきた宮人と同じく、吉野を見に我らも戻ってこよう。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1132番歌(夢のわだ言にしありけり)~アルケーを知りたい(1951)

イメージ
▼今回の歌は、ツンデレだ、と思ふ。嬉しいくせに素直に嬉しいと言わず、独特の言い回しをしている。素直に言えよ、と思ひつつもスルーしがたい歌。 夢のわだ言にしありけりうつつにも 見て来るものを思ひし思へば  万1132 *「夢のわだ」とは言葉だけの存在になった。思い続けていたものを実際に見て来たので。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7