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万葉集巻第7_1089番歌(大海に島もあらなくに)~アルケーを知りたい(1908)

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▼今回は、天皇が伊勢に行幸したときに随行した人が詠んだ歌。作者不明。目の前に広がる海、おだやかな波、空には雲。陸から見たのか、舟から見たのか分からない。分からないことが多いけど、風景が見えて来そう。主張も感想もない、物語の始まりか途中かもわからない。この風景描写から自分で感じれば良いのだろう、この歌は。  大海に島もあらなくに海原の たゆたふ波に立てる白雲  万1089 *大きな海、島もない海原でたゆたう波の上に見える白い雲。   右の一首は、伊勢の従駕(おほみとも)の作。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1088番歌(あしひきの山川の瀬の)~アルケーを知りたい(1907)

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▼前回は、結果から原因を推理するタイプ、今回は、因果を仄めかすタイプ。共通する言葉は川・弓月が岳・雲。印象は、一首で世界が完結・心情吐露なし・男性的・ドライ。月の歌の二首セット、とても良い。 あしひきの山川の瀬の鳴るなへに 弓月が岳に雲立ちわたる  万1088 *山で川の瀬の音が賑やかだ。見ると弓月岳に雲が湧き立っている。   右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1087番歌(穴師川川波立ちぬ)~アルケーを知りたい(1906)

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▼川の水量が増えたのを見て、上流の山で雨が降っていると予想する歌。そのまま言うと面白くない理科的説明になる。しかし、「川波立ちぬ」と「雲居立てる」というと歌になるのだな、これが。  雲を詠む 穴師川 (あなしがは) 川波立ちぬ巻向の 弓月が岳に雲居立てるらし  万1087 *穴師川に波が立っている。巻向の弓月岳の空に雨雲が湧いているらしい。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1086番歌(靫懸くる伴の男広き)~アルケーを知りたい(1905)

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▼今回の歌、解釈によると、前半は、難波の地域には矢立てを肩にかけた大伴の武人が大勢いたことを表しているそうだ。後半は、月が一帯を照らしている様子を「国栄えむ」と寿いでいる。誰が詠んだ歌か分からないけれど、大伴氏の領地を褒めている歌。静かなモノクロの風景画のイメージ。夜の月が照らし出す風景はどんなだろう、見たいと思ふ。 靫 (ゆき) 懸くる伴の男広き大伴に 国栄えむと月は照るらし  万1086 *大伴の領地一帯が栄えませというように月は照っているらしい。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1085番歌(妹があたり我は袖振らむ)~アルケーを知りたい(1904)

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▼今回の歌も良いなと思う。でも、なぜ月に雲がかからないで欲しいと思うだろうか、とも思う。同じ照る月の下にいるのが大事なのに、その月が隠れては趣がなくなるじゃないか、ということだろう。だから雲に、今出て来るんじゃないよ、と言う。妻への慕情と、月への無茶な注文ぶりを楽しむ歌だな、これは。 妹があたり我は袖振らむ木の間より 出で来る月に雲なたなびき  万1085 *妻のいる方向に向かって私は袖を振ろう。雲よ、木の間から出て来る月を隠さないでくれよ。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1084番歌(山の端にいさよふ月を)~アルケーを知りたい(1903)

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▼待つほどに現れない、のはよくある話で、今回は山からなかなか出てこない月を待つ歌。来ないから先に行ってしまうぞとも言えないし、時間だけが過ぎて行く(笑)。これから待たされることがあったら「我が待ち居らむ夜は更けにつつ」と口ずさむと、気持ちにゆとりが出て来るかも。この歌は周りとも、自分の気持ちとも、ほどよい距離を置いて眺める大人 (たいじん) のゆとりを感じさせる。 山の端にいさよふ月をいつともか 我が待ち居らむ夜は更けにつつ  万1084 *山の向こう側で出待ちしている月。いつ出るのだろうと待っているうちに夜は更けゆく。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1083番歌(霜曇りすとにかあるらむ)~アルケーを知りたい(1902)

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▼今回は、霜曇り、夜渡る月、という二つの言葉が印象的な歌。しかもちょっと寒そう。ただ「霜曇りすとにかあるらむ」が謎。というのは、霜曇りになるだろう、という意味にもなりそうだから。そうすると、下の句が予測になる。その可能性もあるけど、ここでは作者が月が見えないのでその理由を詠った歌だ、と思ふことにしました。 霜曇 (しもぐも) りすとにかあるらむひさかたの 夜渡る月の見えなく思へば  万1083 *霜をふらす雲に隠れてしまったのだろうな、夜の月をわたるが見えないのは。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7