万葉集巻第6_1018 番歌(白玉は人に知らえず)~アルケーを知りたい(1854)
▼今回は「知らず」を繰り返す印象的な歌。27番歌「 よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見」を思い出す。27番は天武天皇が皇子たちに伝えたメッセージソング。今回の1018番は元興寺のお坊さんが自分を励ます歌。前書きと後書きでシチュエーションが分かるので助かる。助かるものの、前後に「嘆く」とあるから、嘆きの歌なんだと思ってしまうけど、歌じたいは嘆くのではなく、自らを納得鼓舞する内容。 十年戊寅に、 元興寺の僧 が自ら嘆く歌一首 白玉は人に知らえず知らずともよし 知らずとも我れし知れらば知らずともよし 万1018 *貴重な白玉の存在は人に知られていない。それで良い。私も人に知られていないが、自分が分かっているのでこれで良いのだ。 右の一首は、或いは「元興寺の僧、独覚にして多智なり。 いまだ顕聞あらねば、諸衆狎侮る。 これによりて、僧この歌を作り、自ら身の才を嘆く」といふ。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6