万葉集巻第6_1013-1015 番歌(あらかじめ君來まさむと)~アルケーを知りたい(1851)
▼急な来客に、おいでになると前もって分かっていたら支度してましたのに、と応対する歌。アポなしで来るんじゃなえ、ではなく、訪問を喜び歓迎する。こういう気持ちの余裕をなくなって幾星霜の自分には、今回の三首は、遠くてなつかしい思い出の風景のよう。 九年丁丑の春の正月に、橘少卿、幷せて諸大夫等、弾正尹 門部王 が家に集ひて宴する歌二首 あらかじめ君來まさむと知らませば 門にやどにも玉敷かましを 万1013 *あらかじめ貴方様がおいでになることが分かってましたら、門にも庭にも玉砂利を敷いてましたのに。 右の一首は主人門部王 後には姓大原真人の氏を賜はる 一昨日も昨日も今日も見うれども 明日さへ見まく欲しき君かも 万1014 *一昨日も昨日も今日もお会いしていますが、明日も会いたいと思う貴方様です。 右の一首は 橘宿禰文成 すなはち少卿が子なり 榎井王 、後に追和する歌一首 志貴親王の子なり 玉敷きて待たましよりはたけそかに 来る今夜し楽しく思ほゆ 万1015 *準備万端整えて待ち構えているより、突然いらっしゃって一緒に過ごす夜が楽しいです。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6