投稿

万葉集巻第7_1172番歌(いづくにか舟乗りしけむ)~アルケーを知りたい(1991)

イメージ
▼琵琶湖を見ていたら舟が目についた。どこから来たのだろう、という歌。別にどこから来ても構わない話なんだが、こうやって歌にすると風情が感じられる。WhoもWhenもWhyもないのに。 いづくにか舟乗りしけむ高島の 香取の浦ゆ漕ぎ出来 (でく) る舟  万1172 *どこから舟を出してきたのだろう。高島の香取の浦を漕ぎ進めている舟は。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1171番歌(大御船泊ててさもらふ)~アルケーを知りたい(1990)

イメージ
▼この歌の「渚し思ほゆ」が響くわーと思ふ。渚は、波うちぎわ。海と陸が接するアナログ的な場所。干潮になれば陸、満潮になれば海。 高島の三尾の勝野は、現在の滋賀県高島市。海とは琵琶湖のことだったのだ。 大御船 (おほみふね) 泊 (は) ててさもらふ高島の 三尾の勝野の渚し思ほゆ  万1171 *大君が乗船する船が停泊したという高島の三尾の勝野の渚のことを思います。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1170番歌(楽浪の連庫山に)~アルケーを知りたい(1989)

イメージ
▼あの山の上に雲が出ると雨が降る、とか、月に笠がかかると雨になる、とか聞いたことがある。今回は、その元祖のような歌。 楽浪 (ささなみ) の連庫山 (なみくらやま) に雲居れば 雨ぞ降るちふ帰り來我が背  万1170 *楽浪の連庫山に雲がかかっています。雨になりますから私の夫よ、お帰りください。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1169番歌(近江の海港は八十ち)~アルケーを知りたい(1988)

イメージ
▼今回の歌の「 近江の海」とは琵琶湖のこと。 淡水の大きな海なので、 淡海 (あはうみ) と呼ばれていたのが変化した。琵琶湖は舟を泊める場所がたくさん (八十) あるから、そのどこにいるのだろう、という歌。いまはどれくらいの数の港があるのか調べると、県が 管理する 港湾が 4、市が管理する漁港と舟溜が合わせて66ある。そのどこに貴方様はお泊りなんでしょうという気持ち、分かる気がします。 近江の海港は八十 (やそ) ちいづくにか 君が舟泊て草結びけむ  万1169 *近江の海には沢山の港があるけれど、そのどれに貴方様は舟を停めて宿を取っていらっしゃるのでしょう。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1168番歌(今日もかも沖つ玉藻は)~アルケーを知りたい(1987)

イメージ
▼今回の「今日もかも沖つ玉藻」の歌は伊藤本では七首をひとまとまりにした七番目の歌。風景を詠むふうを装って、実はオヤジか若者かが、気になる女性を詠んだ歌のようだ。 今日もかも沖つ玉藻は白波の 八重をるが上に乱れてあるらむ  万1168 *今日もまた沖の玉藻は重なり來る白波に揉まれて乱れているのでしょう。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1167番歌(あさりすと磯に我が見し)~アルケーを知りたい(1986)

イメージ
▼今回は先を越されて残念な気持ちの歌。この歌い手の残念度合は・・・というと、それほどでもなさそうな印象なのですが。どうなんでしょう(笑)。 あさりすと磯に我が見しなのりそを いづれの島の海人か刈りけむ  万1167 *磯で見つけたなのりそを刈りに行ったら、すでにどこかの漁師が刈り取っていました。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

万葉集巻第7_1166番歌(いにしへにありけむ人の)~アルケーを知りたい(1985)

イメージ
▼榛の木は 樹皮や果実が褐色の染料になる。今回の歌は、万葉人が 「いにしえの人」が探し求めていたというところを見ると、それより昔から榛の木が染料の素になるのは知られていた。こういう例は他にもたくさんあって、文脈というかストーリーというか由来を知らないままではもったいない。 いにしへにありけむ人の求めつつ 衣 (きぬ) に摺りけむ真野 (まの) の榛原 (はりはら)  万1166 *昔の人が衣を染めるのに探し求めた染料の元があるのが、ここ真野の榛原です。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7