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万葉集巻第6_939-941番歌(沖つ波辺波静けみ漁りすと)~アルケーを知りたい(1810)

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▼今回は、前回の美しい938番の長歌に続く三首の反歌。心弾む明るさが伝わってくる。939番で旅先の賑わいを詠い、次の940番で旅先での夜が長いので家が偲ばれると詠い、941番では帰途につくことになってニンマリする自分を詠う。「 下笑まむ」が効いてくる。  反歌三首 沖つ波辺波静けみ漁りすと 藤江の浦に舟ぞ騒ける  万939 *波が静かになると、 藤江の浦が 漁に出る 舟で 賑わいます。 印南野の浅茅押しなべさ寝る夜の 日長くしあれば家し偲はゆ  万940 *印南野で野宿すると夜が長いので、家のことばかり偲ばれます。 明石潟潮干の道を明日よりは 下笑 (したゑ) ましけむ家近づけば  万941 *明石潟が干潮になると現れる道を進むと思うと 嬉しくなります。明日から だんだん家に近づくから。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_938番歌(印南野の邑美の原の)~アルケーを知りたい(1809)

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▼今回も山部赤人が明石の海を褒める歌。歌は3段構造になっている。①最初に場所を知らせ、②対比で説明し、③褒めて締める。938番は②の対比が鮮やか。こういう表現ができるようになりたい。   山部宿禰赤人 が作る歌一首  幷せて短歌 やすみしし 我が大君の 神ながら 高知らせる 印南野 (いなみの) の 邑美 (おふみ) の原の 荒栲の 藤井の浦に 鮪 (しび) 釣ると  海人舟 (あまぶね) 騒ぎ 塩焼くと  人ぞさはにある 浦をよみ  うべも釣りはす 浜をよみ  うべも塩焼く あり通ひ 見さくもしるし 清き白浜 万938 *藤井の浦にはマグロを釣りに漁師が集まり、塩を焼きに人が集まります。浦が良いから、浜が良いからです。だから天皇もお通いになるのでしょう、この清い白浜に。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_936-937番歌(玉藻刈る海人娘子ども)~アルケーを知りたい(1808)

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▼前回の長歌の後に続く反歌二首。観光だな、これはと思ふ。 936番は普段の生活では見られない仕事と人を見たい気持ち、937番は普段の生活では見られない風景を見たい気持ち。この気持ちを満たすのが観光なんだ。なんだか発見した気分。  反歌二首 玉藻刈る海人娘子 (あまをとめ) ども見に行かむ 舟楫もがも波高くとも  万936 *玉藻を刈る漁師や娘子たちを見に行く舟と楫があれば、波が高くても行きたいものです。 行き廻り見とも飽かめや名寸隅 (なきすみ) の 舟瀬の浜にしきる白波  万937 *周回して見ても飽きることがないでしょう。名寸隅の舟瀬の浜に寄せる白波は。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_935番歌(名寸隅の舟瀬ゆ見ゆる)~アルケーを知りたい(1808)

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▼今回の長歌は、726年の作品。聖武天皇行幸に合わせて笠金村が詠んだ歌。 名寸隅 (なきすみ) は地名で、現在の明石市の魚住町付近という。聞いたことがある町名だなと思ったら、中学時代の友人が住んでいる地名だ。天皇行幸の地なんだ、すごいな。 「朝なぎにと夕なぎに」「ますらをのとたをや女の」の対比が良き良き。  三年丙寅の秋の九月十五日に、播磨の国の印南野 (いなみの) に幸す時に、 笠朝臣金村 が作る歌一首  幷せて短歌 名寸隅 (なきすみ) の 舟瀬ゆ見ゆる 淡路島 松帆の浦に 朝なぎに  玉藻刈りつつ 夕なぎに  藻塩焼きつつ 海人娘子 (あまをとめ)  ありとは聞けど 見に行かむ よしのなければ ますらをの  心はなしに たわや女の  思ひたわみて た廻 (もとほ) り 我れはぞ恋ふる 舟楫をなみ 万935 *淡路島の浦では海人や娘子たちが朝は玉藻を借り、夕は塩を焼くそうな。見に行くにも舟と楫がないので、益荒男の気持ちはどこへやら、手弱女のように思い悩んで、じりじりするばかり。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_934番歌(朝なぎに楫の音聞こゆ)~アルケーを知りたい(1807)

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▼海の近くで暮らしていると、朝凪が実感できるのだろう、と思うと羨ましい。というか自分が風に鈍感なのだろう。凪で静かになっているだけに楫の音がよく響くのだろう。野島の 海人の舟の楫の音、聞いてみたい。  反歌一首 朝なぎに楫の音聞こゆ御食 (みけ) つ国 野島の海人の舟にしあるらし  万934 *朝なぎのなか楫の音が聞こえます。御食の国の野島の海人が漕ぐ舟のようです。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_933番歌(天地の遠きがごとく)~アルケーを知りたい(1806)

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▼「天地の遠きがごとく、日月の長きがごとく」は悠々としていて、リズムも響きも良い。こういうフレーズで詠う山部赤人と柿本人麻呂を大伴家持が「山柿」と呼んだのは、ごもっともなこと。後半は鰒も出てきて食欲を誘う。こうしてみると長歌も良いものだなーと思ふ。  山部宿禰赤人が作る歌一首  幷せて短歌 天地の  遠きがごとく 日月の  長きがごとく おしてる 難波の宮に 我ご大君 国知らすらし 御食つ国 日の御調と 淡路の 野島の海人の 海の底 沖つ海石に 鮑玉  さはに潜き出 舟並めて 仕へ奉るし 貴し見れば 万933 *天地が広大なように、時間が悠久のように、我が大君は国をお治めになる。淡路の海人が舟を並べて海から取った鮑玉を奉げるのは何とも貴いことです。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

万葉集巻第6_932番歌(白波の千重に来寄する住吉の)~アルケーを知りたい(1805)

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▼白波が寄せては返す住吉の浜。932番歌は陸に見える「埴生=赤や黄色の粘土」が焦点。 衣を染めて行きたいくらい良い色らしい。 埴生は 埴輪を作る時の土という。今でいうとカーキ色。そういえば今日のチノパンがカーキ色だ。何か嬉しいぞ。埴輪に染まる気分で、ゆったり過ごそう。  反歌一首 白波の千重に来寄する住吉の 岸の埴生 (はにふ) ににほひて行かな  万932 *白波が繰り返し寄せて来る住吉の岸の埴生に染まって行こう。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6