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水原 秋櫻子~定型詩でアルケーを知りたい(811)

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今回は俳句。 ▼今月は趣を変えて日本の定型詩と作者を見て行く。言葉の並びが時を隔てて、読む者に何かの力を及ぼす。 ▼ とても不思議なこ の力、物理の「四つの力」に関係するのだろうか、それともまた別なのか(笑)。 水原秋櫻子の俳句でスタート。 ▼ 冬菊の まとふはおのが ひかりのみ 感想:光の中の菊。静かで凛としたイメージが浮かぶ。 ▼ 水原 秋櫻子  みずはら しゅうおうし 医師・俳人。 【教育/活動】 1892(明治25)年10月9日、千代田区神田猿楽町生まれ。  父親は産婦人科病院長。 1918(26) 東京大学医学部卒業。医学博士。   高濱虚子 の俳句論『進むべき俳句の道』がきっかけで俳句に興味を持つ。 1921(29) 虚子の 『ホトトギス』に参加、師事 。 1922(30) 帝大俳句会結成。 1928(36) 帝大俳句会の『馬酔木』に参加。 1928-41(36-49) 昭和大学で初代産婦人科学教授。  父親の産婦人科病院を継承、宮内省侍医寮御用係兼任。 1931(39) 『ホトトギス』を離脱 し 『馬酔木』を主宰 。  虚子の伝統俳句・客観写生に対して主観写生の新興俳句運動を展開。 1955(63) 医業を引退、俳句に専念。 1981(昭和56)年7月17日、杉並区西荻南の自宅で死去。89歳。 【キーワードと感想】 東大医学部 秋櫻子は本業が医師。 虚子 俳句は 虚子から入った、でも後で離れる。 ホトトギス 虚子=ホトトギス。 【ネットワーク】 高濱 虛子  たかはま きょし 1874(明治7)年2月22日 - 1959(昭和34)年4月8日 松山出身の俳人・小説家。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%8E%9F%E7%A7%8B%E6%A1%9C%E5%AD%90

1968、JASONのメンバー歴51年~ムンク:アルケーを知りたい(810)

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今回は物理学。 ▼ 機密性の高い科学技術の問題について米国政府に助言する科学者グループ「 JASON 」。今回は、そのメンバーだったムンク。 ムンクがメンバーに加わったのは、JASON設立の8年後から。 ▼ムンクのここが面白い:JASONのメンバーとして 51歳から亡くなる102歳まで、51年間在籍したこと。この長さが面白い。 研究にも特徴がある。師匠と共に海の波の研究を行い、波の高さと周期・風の速度と持続時間・風が吹く距離から経験則を発見。この経験則はWWIIのノルマンディ上陸作戦に適用された。当日は気象条件が悪かったけれど、水難事故が起きることなく多くの命が救われたという。判断の時に役立つ経験則を提供できたのが素晴らしい。一流の研究者が長期間JASONのメンバーだった、ここからも、JASONの性格の一端が伺える。 ▼ ウォルター・ムンク  Walter Heinrich Munk 1917年10月19日 - 2019年2月8日  アメリカの物理海洋学者 【人物】ウィーン生まれ。ユダヤ人。 【教育/活動】 1932(15) スキーに熱中して、学校の成績が悪化。両親が教育のためニューヨークの男子予備学校に転校させる。 1933-37(16-20) 家族が経営する銀行で働きながら、コロンビア大学で学ぶ。 1937(20) 銀行の仕事が肌に合わないので辞めてカリフォルニア工科大学 Caltech に入学。  1938(21) ナチス・ドイツがオーストリアを併合。 1939(22) Caltechで応用物理学の学士。アメリカ市民になる。 1940(23) Caltechで地球物理学の修士。 スヴェルドラップ の博士学生になる。米陸軍に入隊。野砲兵とスキー部隊で勤務。 1941-47(24) 米国海軍無線音響研究所のスヴェルドラップの下で対潜水艦戦と水陸両用戦の研究。 1943(26) 海人や上陸用舟艇の危険度を測るため面波の高さを予測する方法を研究。この方法がノルマンディー上陸作戦に適用される。 1947(30) カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士。 1947-54(30-37) カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所で准教授。 1954(37) 同研究所で教授。 1960(43) JASON設立。 1968-2019( 51-102 ) JASONの

1973、JASONの三代目会長~ワトソン:アルケーを知りたい(809)

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今回は物理学。 ▼ JASONの三代目会長 :ワトソンはJSONの立ち上げメンバーでルイスの後のJASON三代目会長。1973年(52歳)から数年間。 ▼ワトソンのここが面白い:なにより102歳の長寿であること。めでたい。 JASONの前身である「 軍事問題の物理学夏季学習プログラム、プロジェクト137」に初代JASON会長になるゴールドバーガーらと共に参加した最古参メンバー。JASONの必要性、設立趣旨を直接経験しながら感じ、行動した創設会長のひとりだ。 ▼専門分野では、量子力学と海洋表面波のダイナミクスというあまり関係なさそうな分野の間に共通しているものを見つけた。量子力学と海、量子力学と天体。量子力学は海洋や宇宙とつながっているのを示したのが面白い。 ▼ ケネス・ワトソン  Kenneth Marshall Watson 1921年9月7日 -  アメリカの理論物理学者・物理海洋学者。 【人物】アイオワの州都デモイン生まれ。 【教育/活動】1943(22) アイオワ州立大学で電気工学の学士。 1943-46(22-25) 米国海軍研究所で研究者。ジョージ・ワシントン大学の夜間学校。 1948(27) アイオワ大学で博士。「外部静電場における中性子の中間子電荷雲の分極率」。指導教員は ヨーゼフ・マリア・ヤウフ 。 1948-51(27-30)高等研究所 IASで原子力委員会フェロー。 1951-54(30-33) インディアナ大学で物理学の助教授。 1954-57(33-37) ウィスコンシン大学マディソン校で物理学の准教授。 1957-81(36-60) カリフォルニア大学バークレー校の物理学の教授。ローレンス・バークレー国立研究所の研究員。 1958(34) ジョン・ウィーラー、ユージン・ウィグナー、オスカー・モルゲンシュテルンが軍事問題の物理学夏季学習プログラム、プロジェクト137を開催。 ゴールドバーガー らと共に参加。 1959(38) ゴールドバーガー 、ゲル-マン、ジョン・ウィーラー、チャールズ・タウンズらと共にプロジェクト 137の後継となるJASONグループを立ち上げ。 1960-98(39-77) JASONメンバー、3代目会長。 1964(43) ゴールドバーガー と共著で『衝突理論』を出版。 1981-91(60-70) カリフォルニア大

1966、JASONの二代目会長~ルイス:アルケーを知りたい(808)

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今回は物理学。 ▼ JASON :ルイスはゴールドバーガーの後のJASON二代目会長。会長の時期は1966年から73年、43歳から60歳。 ▼ルイスのここが面白い:60代から地球温暖化は疑似科学詐欺と主張し、67歳で著作を出す。地球温暖化詐欺に巻き込まれている、として 60年以上在籍した 米物理学会を 87歳で 脱会する。行動に年齢を感じさせないパワフルさがすごい。 ▼ ハロルド・ルイス  Harold "Hal" Warren Lewis 1923年10月1日 - 2011年5月26日 アメリカの物理学者  【人物】父親はロシア移民の繊維販売業者。 【教育/活動】 1940-43(17-20) ニューヨーク大学で物理学を学ぶ。 1943-44(20-21) カリフォルニア大学バークレー校で修士。アメリカ物理学会APSで会員。海軍に入隊、電子技術者。 WWII後、カリフォルニア大学バークレー校で物理学博士。高エネルギー物理学(宇宙線と素粒子)。師匠はオッペンハイマー。 1950-56(27-33) プリンストン。ベル研究所で超電導材料の研究。 1956(33) ウィスコンシン大学マディソン校で固体物理学とプラズマの研究。 1964-91(41-68) カリフォルニア大学サンタバーバラ校UCSB で教授。 1985(62) 国防科学委員会 DSB で「核の冬」タスクフォース議長。原子力発電所の安全性を研究。 1991(68) UCSB を引退。 1966-73( 43-50 ) JASONの二代目会長。 1990(67) 著書『技術的リスク Technological Risk』発表。 2010(87) アメリカ物理学会 APS は地球温暖化詐欺に巻き込まれているとして退会。 【ネットワーク】 カーティス・ゴーブ・カラン・ジュニア  Curtis Gove Callan Jr. 1942年10月11日 -  アメリカの理論物理学者。1968-(26-) JASONのメンバー。1990-95(48-53) JASON第八代目会長。▼2010(68)、ルイス (87) が温暖化は疑似科学詐欺と主張してアメリカ物理学会を退会したときの会長。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 https://en.wikipedia.org/wiki/Harold_Lewis

1960、JASONの初代会長~ゴールドバーガー:アルケーを知りたい(807)

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今回は物理学。 ▼ JASON :1960年設立。機密性の高い科学技術の問題について米国政府に助言する科学者グループ。運営は非営利法人MITRE Corporation。研究のほとんどは軍事。現在は、健康情報学・サイバー戦争・再生可能エネルギーも研究対象。「JASON」の名付け親は設立メンバーで初代会長のゴールドバーガー。 ▼ゴールドバーガーのここがすごい:研究と並行して物理学者の立場から科学技術の機微な問題を政府に助言する。現状から問題を考え、仲間を募り、実践する。半世紀以上続く活動を始めた創始者であるところがすごい。会長の時期は、 1959年から65年、37歳から43歳。 ▼ マービン・ゴールドバーガー  Marvin Leonard "Murph" Goldberger 1922年10月22日 - 2014年11月26日 アメリカの理論物理学者。 【人物】シカゴ生まれ。 【教育/活動】 カーネギーメロン大学で学士。 1948(26) シカゴ大学で物理学博士。論文「高エネルギー中性子と重核の相互作用」。指導教員は フェルミ (47)。 1948-51(26-29) MITのヴィクター・ワイスコフの下でポスドク。マレー・ゲルマン(19-22)と共同オフィス。 1954(32) ゲルマン (25)と「交差対称性 crossing symmetry」を導入。 1957-77(35-55) プリンストン大学で物理学教授。 1957(35) スプートニク・ショック Sputnik crisis。 1958( 36 ) 軍事問題の物理学夏季学習プログラム「Project 137」に参加 。 サム・トレイマン (33)と「ゴールドバーガーとトライマンの関係Goldberger-Treiman relation」を発表。 1959-65( 37-43 ) JASON study group の設立メンバー・初代会長 。 1978-87(56-65) カリフォルニア工科大学で学長。 1987-91(65-69) 高等研究所IASで所長。 1991-93(69-71) カリフォルニア大学ロサンゼルス校で物理学教授。 1993-2014(71-92) カリフォルニア大学サンディエゴ校で物理学教授。 【ネットワーク】 エンリコ・フェルミ  Enrico Fermi

1977、タウ粒子の発見~パール:アルケーを知りたい(806)

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今回は物理学。 ▼ タウ粒子 :tauon。 tauon。素粒子標準模型の第三世代の荷電レプトン。名前の由来は、ギリシア語で「三番目」の triton。これはタウ粒子が電子・ミュー粒子に続く三番目に発見された荷電レプトンだから。レプトンはクォークと同様、素粒子。名前の由来は、古代ギリシア語「軽い」の leptos。レプトンの種類は、電荷を持つ荷電レプトンと中性のニュートリノの二つがある。 ▼パールのここが面白い:タウ粒子の探索にはハイパワーな装置が必要。イタリアの物理学者 ジチチ が開始したもののマシンパワー不足のため発見に至らず。一方、パールはスタンフォード大学の装置で発見。アメリカかつスタンフォードという適切な場所で素晴らしい結果を得たパールの選択力が面白い。 ▼ マーチン・パール  Martin Lewis Perl 1927年6月24日 - 2014年9月30日  アメリカの物理学者。 【人物】父親はポーランドから渡米したユダヤ人で印刷・広告会社の経営者。 【教育/活動】 1948(21) ニューヨーク大学タンドンで化学工学を学び卒業。GE社で真空管製造工場のエンジニア。 1950(23) ユニオン大学で真空管の機能を学ぶ。 1955(28) コロンビア大学で博士。指導教員は I.I.ラビ 。 1955-63(28-36) ミシガン大学でバブルチャンバーとスパークチャンバーを使用し、中性子の散乱を研究。 1963-(36-) スタンフォード線形加速器センター SLAC で電子とミューオンの相互作用を研究。 1974-77( 47-50 ) SLAC でタウ粒子を発見 。 1995( 68 ) ノーベル物理学賞受賞(レプトン物理学の先駆的実験、タウ粒子の発見) 。 フレデリック・ライネス と共同受賞。 【ネットワーク】 I・I・ラービ  Isidor Isaac Rabi 1898年7月29日 - 1988年1月11日 アメリカの物理学者。1944(46) ノーベル物理学賞受賞(共鳴法による原子核の磁気モーメントの測定法の発見)。▼パールの指導教員。 フレデリック・ライネス  Frederick Reines 1918年3月16日 - 1998年8月26日 アメリカの物理学者。▼1995(77) ノーベル物理学賞受賞(レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの

1971、電弱相互作用の量子構造の解明~ト・ホーフト:アルケーを知りたい(805)

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今回は物理学。 ▼ 電弱相互作用 :electroweak interaction。電磁気力と弱い相互作用を統一した相互作用。 相互作用は次の4つ。物体に働く強い力・弱い力・電磁気力・重力。 ▼トホーフトのここが面白い:7歳のとき大叔父がノーベル賞を受賞した。これはなかなかできない経験。子供時代のこの経験はサブリミナル効果があった、とは断言できずとも、全くない、とは言えなさそう。子供時代に稀有な体験をし、後に自らが主役になる能力と運の良さがすごい。 ▼ ヘーラルト・トホーフト  Gerardus 't Hoof 1946年7月5日 -   オランダの理論物理学者  【人物】? 【教育/活動】 1953(7) 大叔父の フリッツ・ゼルニケ が位相差顕微鏡の発明の功績でノーベル賞を受賞。 1954(8) 先生に将来何になりたいかと聞かれ、教授という意味で「何でも知っている人」と答えた。 1972(26) ユトレヒト大学で博士。ノーベル賞受賞につながる研究。指導教員は マルティヌス・ヴェルトマン 。ジュネーブのCERNでポスドク。 1974(28) ユトレヒト大学で助教授。 1999( 53 ) ノーベル物理学賞受賞(電弱相互作用の量子構造の解明) 。 2011-(65-) ユトレヒト大学で特別教授。 【ネットワーク】 フリッツ・ゼルニケ  Frederik Zernike 1888年7月16日 - 1966年3月10日 オランダの物理学者。1953(65) ノーベル物理学賞受賞(位相差顕微鏡の発明) 。▼ ゼルニケは トホーフトの大叔父。 マルティヌス・フェルトマン  Martinus J.G. Veltman 1931年6月27日 - 2021年1月4日  オランダの物理学者。▼トホーフトの師匠。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 『理科年表2022』 https://en.wikipedia.org/wiki/Gerard_%27t_Hooft

1962、ハドロンと命名~オクン:アルケーを知りたい(804)

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今回は物理学。 ▼ ハドロン :hadron。標準モデルで「強い相互作用」で結びついた複合粒子のグループの名前。名前の由来はギリシャ語の「強い」の意味の言葉。命名者はレフ・オクン。 ハドロンを構成するのは、クォークと反クォーク、グルーオン。 ▼レフ・オクンのここが面白い:1962年の講演で「ここでは、弱い相互作用を扱っているにもかかわらず、強い相互作用をする粒子について話さなければなりません」と前置きしてにハドロンという用語を紹介。「この用語が便利であると判明することを願っています」と結んだ。ややこしい話をするとき、このレフ・オクンの話法は真似できそう。一歩引いた丁寧な話法で謙虚な人だという印象まで伝わるのが面白い。 ▼ レフ・オクン  Lev Borisovich Okun 1929年7月7日- 2015年11月23日 ロシアの理論物理学者。 【人物】? 【教育/活動】 1953(24) モスクワ工学・物理研究所を卒業。 アルカディ・ミグダル と イサーク・ポメランチュク の指導を受ける。 1954-84(25-55) モスクワ理論実験物理学研究所 ITEP:Institute of Theoretical and Experimental Physics の理論物理学研究室で研究員。 1962( 33 ) 高エネルギー物理学国際会議で「ハドロン」という用語を使って講演 。 1963(34) 著書『素粒子の弱い相互作用 』 発表。 1967-(38-) ITEPで教授。 【ネットワーク】 ア ルカディ・ミグダル  Arkady Migdal 1911年3月11日 - 1991年2月9日 ロシアの物理学者。1938-45(27-34) モスクワ物理問題研究所で研究員。1943(32) 博士を取得。1945-71(34-60) クルチャトフ研究所で教授。1971-91(60-80) ソビエト科学アカデミーのランダウ理論物理学研究所で教授。▼1953年前後にレフ・オクンを指導。 アイザック・ポメランチュク  Isaak Pomeranchuk 1913年5月20日 - 1966年12月14日 ロシアの物理学者。1938(25) レニングラード工科大学で博士。1946-(33-) 理論実験物理学研究所 ITEP で理論教授。▼1953年前後に大学院生のレフ・オクンを指導。

1968、クォーク模型の実証~ケンドール編:アルケーを知りたい(803)

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今回は物理学。 ▼ クォーク模型 :quark model。クォークでハドロンを分類する枠組み。 ハドロンは、6種類のクォークと8種類のグルーオンで構成される。 グルーオンは、ハドロンの内部で強い相互作用を伝播する。 ハドロンは、バリオンと中間子に分けられる。 陽子はバリオンである。構成は、アップクォーク2個とダウンクォーク1個。 中性子はバリオンである。構成は、アップクォーク1個とダウンクォーク2個。 K中間子は中間子である。構成は、ストレンジクォーク1個と反アップクォーク1個。  * アルケーに近づく(?)ほど、これだ!という一点に収束するのではなく、話が広がって宇宙的になるのが面白い。 ▼ケンドールのここがすごい:科学技術の問題について米国政府に助言するJASONという科学者グループに入ったり、憂慮する科学者連合 UCSを設立したり、科学者の社会的責任を行動で示したところがすごい。 ▼ ヘンリー・ケンドール  Henry Way Kendall 1926年12月9日 - 1999年2月15日  アメリカの物理学者 【人物】父親は実業家。 【教育/活動】 1945-46(19-20) 米国商船学校に入学。北大西洋で兵員輸送に従事。 1946(20) アマースト大学に入学、数学を専攻。並行して友人とイビングとサルベージ活動の小規模組織を作り運営。浅瀬ダイビングと水中写真の本を共著で出版。 1950(24) アマースト大学を卒業。 1955(29) MITで博士。指導教員は マーティン・ドイチュ 。 1956-57(30-31) ブルックヘブン国立研究所でポスドク。 1957-62( 31-36 ) スタンフォード大学のロバート・ホフスタッター研究グループで研究員。フリードマンと リチャード・テイラー と協力し、同大学の 線形電子加速器で陽子と中性子の構造を研究 。 1961-99(35-73) MIT 物理学部で教員。1960年に設立された JASON に参加。JASONは、 機密性の高い科学技術の問題について米国政府に助言する機関。 1974-(48-) 憂慮する科学者連合 Union of Concerned Scientists:UCSを共同設立、会長。  1990( 64 ) ノーベル物理学賞受賞(陽子および束縛中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先

1968、クォーク模型の実証~フリードマン編:アルケーを知りたい(802)

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今回は物理学。 ▼ クォーク模型 :quark model。ハドロンを構成するのは、クォーク、反クォーク、グルーオン。クオークの結びつき方でハドロンの性質が決まる。 クオーク quark は、素粒子の一つ。 ハドロン hadron は、強い相互作用で結びついた複合粒子。 ▼フリードマンのここが面白い:陽子や中性子が物質の最小単位=素粒子=と思っていたら、まだその中に小さいのがおったわ、という発見をした。こんなことを見つけるフリードマンが、面白すごすぎる。 ▼ ジェローム・フリードマン  Jerome Isaac Friedman 1930年3月28日 -    アメリカの物理学者  【人物】両親はロシアからのユダヤ人移民。教育熱心。父親は中古機械の販売業。 【教育/活動】 高校時代、アインシュタインの相対性理論の本を読んで物理に興味。 1950(20) シカゴ大学の物理学科に入学。フェルミの下で研究。 1953(23) シカゴ大学で修士。 1956(26) シカゴ大学で物理博士。シカゴ大学の核乳剤研究室でポスドク。 1957(27) スタンフォード大学高エネルギー物理学研究所 SLAC の ロバート・ホフスタッター 研究グループで研究員。 1960(30) MITで教授。 1968-75( 38-45 ) MIT から SLAC に通い、 ケンダルとテイラーと共同で陽子の内部構造を探る実験を行い、クオークが存在する証拠を得た 。 1980(50)  MIT 核科学研究所で所長。 1983-88(53-58) MIT 物理学部で学部長。 1990( 60 ) ノーベル物理学賞受賞(陽子および束縛中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究) 。 2008(78) セルビアのベオグラード大学で名誉博士。 2016(85) 旭日大綬章を受章。 【ネットワーク】 ロバート・ホフスタッター  Robert Hofstadter 1915年2月5日 - 1990年11月17日 アメリカの物理学者。1961(46) ノーベル物理学賞受賞(線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と核子の構造に関する発見)。▼ホフスタッターは1957年からフリードマンを研究員のメンバーとして迎えた。 レフ・オクン  Lev Borisovich Okun 1929年7月7日- 2015年1

1964、宇宙マイクロ波背景放射~ウィルソン編:アルケーを知りたい(801)

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今回は物理学。 ▼ウィルソンのここが面白い:博士論文の最終段階でそれまでの指導教員が別の大学に行ってしまう、というヒヤヒヤ経験の持ち主。でも後から親切に面倒を見てくれる指導教員が表れて万事OK。良かった、良かった。 ▼ ロバート・ウィルソン  Robert Woodrow Wilson 1936年1月10日 -  アメリカの天文学者・物理学者。 【人物】父親は石油採掘会社のエンジニア。 【教育/活動】 1957(21) ライス大学を卒業。 1962(26) カリフォルニア工科大学 Caltech で物理学博士。指導教員は ジョン・ボルトン 。博士論文の最後の時期、ボルトンがオーストラリアに転勤。代わりの指導教員になったのはマールテン・シュミット。 1962-63(26-27) Caltechでポスドク。 1963-76(27-40) ベル研究所で研究員。ペンジアスと一緒に研究。 1964( 28 ) ペンジアスと宇宙マイクロ波背景放射 CMB を発見 。 1969(33) ペンジアスとミリ波天文学を開始。オリオン大星雲の分子雲から大量の一酸化炭素を発見。 1972(36) ミリ波施設を建設。最先端のミリ波電波望遠鏡に改造。 1976-(40-) 電波物理研究部で部長。 1978( 42 ) ノーベル物理学賞受賞(宇宙マイクロ波背景放射の発見) 。 【ネットワーク】 ジョン・ボルトン  John Gatenby Bolton 1922年6月5日 - 1993年7月6日 アメリカの電波天文学者。 Caltechでオーウェンズバレー電波天文台を建設。パークス天文台の所長。▼ウィルソンの指導教員。途中でCaltechからオーストラリアのパークス天文台に移ったので、後はマールテン・シュミットが担当。 マールテン・シュミット  Maarten Schmidt 1929年12月28日 - 2022年9月17日 アメリカの天文学者。初めてクエーサーを特定した。クエーサー: Quasar= 準恒星状 quasi-stellar の短縮形。地球からたいへん遠い場所にある天体。 光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える。 ▼ボルトンが異動した後、ウィルソンのD論を見てくれた博士指導教員。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 『理科年表2022』 https://en.wikip

1964、宇宙マイクロ波背景放射~ペンジアス編:アルケーを知りたい(800)

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今回は物理学。 ▼ 宇宙マイクロ波背景放射 :cosmic microwave background:CMB。ビッグバンの名残の電波。 ▼ペンジアスのここがすごい: ナチスからユダヤ人の子供を避難させるプログラムがあったことを初めて知った。 ペンジアスは7歳のとき、このプログラムでドイツ脱出に成功。一家も脱出に成功。運の良い家庭で育ったのが何よりである。 ▼ アーノ・ペンジアス  Arno Allan Penzias 1933年4月26日 -   アメリカの物理学者。 【人物】ミュンヘン生まれ。父親はユダヤ人で皮革業。 【教育/活動】 1939-45(6-12) WWII。 1940(7) ナチスからユダヤ人の子供達を避難させるプログラム Kindertransport で英に逃れ、半年後に両親と合流 。一家でニューヨークに移住。 1946(13) 米国市民になる。 1954(21) ニューヨーク市立大学シティカレッジを卒業。 1954-56(21-23) 米陸軍に入隊、通信隊でレーダー士官。 1956-58(23-25) コロンビア大学放射線研究所の チャールズ・タウンズ の下で研究助手。コロンビア大学で修士 1962( 29 ) コロンビア大学で博士。ベル研究所に就職。 ロバート・ウィルソン と共に電波天文学の観測用の超高感度低温マイクロ波アンテナを研究 。 1964( 31 ) この高感度アンテナで説明のつかない電波ノイズに出会う 。 ロバート・ディッケ がビッグバンの名残の電波である宇宙マイクロ波背景放射であると説明。 1978( 45 ) ノーベル物理学賞受賞(宇宙マイクロ波背景放射の発見) 。 【ネットワーク】 チャールズ・タウンズ  Charles Hard Townes 1915年7月28日 - 2015年1月27日 アメリカの物理学者。▼1964(49) ノーベル物理学賞受賞(メーザー、レーザーの発明および量子エレクトロニクス分野の基礎研究)。 ロバート・ディッケ  Robert Henry Dicke 1916年5月6日 - 1997年3月4日 アメリカの天文学者・物理学者。▼1964年、ペンジアスとウィルソンの発見をビッグバンの電波残骸である宇宙マイクロ波背景放射 CMB と解釈した。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 『理科年表2022』 http

1964、素粒子が質量を持つ仕組みを説明~アングレール:アルケーを知りたい(799)

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今回は物理学。 ▼ 素粒子が質量を持つ仕組み :質量の起源は何か、アルケーは何か、の説明。ムズイ。 ▼アングレールのここが面白い:ベルギーからアメリカにポスドクで行った先の研究室のプロウト先生と波長が合い、ベルギーに帰るときにプロウト先生もベルギーに居を移して共同研究をする、という人同士の強いつながり力を持つところ。 ▼ フランソワ・アングレール  François Englert 1932年11月6日 -   ベルギーの理論物理学者 【人物】ブリュッセル生まれ。父親は織物店経営のユダヤ人。 【教育/活動】 1939-45(7-13) WWII。ナチス・ドイツがベルギーを占領した時期、孤児院や児童養護施設で身を隠して生活。一家でホロコーストから生還。 1955(23) ブリュッセル自由大学 ULB で電気機械工学士。 1959(27) ULBで物理学博士。 1959-61(27-29) コーネル大学 ロバート・ブロウト 研究室で研究員、助教。 1961-64(29-32) ULBで講師。ブロウトもULBに移籍、理論物理学グループを指揮。 1964( 32 ) ブロウト と共同で素粒子が質量を持つ仕組みを説明した理論を発表 。 1964-98(32-66) ULBで教授。 1984(52) テルアビブ大学物理天文学術院シャッカ講座教授。 1998(66) ULBで名誉教授。 2011(79-) カリフォルニアのチャップマン大学量子力学研究所で特別招聘教授。ブラウトが死去。 2013( 81 ) ノーベル物理学賞受賞(質量の起源の理解につながる機構の発見)。ヒッグスと同時受賞 。 【ネットワーク】 ロバート・ブラウト  Robert Brout 1928年6月14日 - 2011年5月3日 米からベルギーに移った理論物理学者。▼アングレールと共同研究を行った。アングレールとヒッグスの受賞が決まった2013年には没していた。 ピーター・ヒッグス  Peter Ware Higgs 1929年5月29日 -  イギリスの理論物理学者。▼2013(84) ノーベル物理学賞受賞(質量の起源の理解につながる機構の発見)。アングレールと同時受賞。 【似顔絵サロン】 〔参考〕 『理科年表2022』 https://en.wikipedia.org/wiki/Fran%C3%A7ois