柿本人麻呂の万葉集167-170番歌~アルケーを知りたい(1165)
▼ 689年に27歳で逝去した 日並皇子 (ひなみしみこ= 草壁皇子 )の挽歌。 草壁皇子の父親は天武天皇、母親は持統天皇。 日並皇子尊の殯宮 (あらきのみや) の時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌一首 幷せて短歌 天地の 初めの時 ひさかたの 天の河原に 八百万 千万神の 神集ひ 集ひいまして 神分ち 分ちし時 天照らす 日女の命 <一には「さしのぼる日女の命」といふ> 天をば 知らしめすと 葦原の 瑞穂の国を 天地の 八重かき別けて <一には「天皇の 八重雲別けて」といふ> 神下し いませまつりし 高照らす 日の御子は 明日香の 清御原の宮に 神ながら 太敷きまして すめろきの 敷きます国と 天の原 岩戸を開き 神上り 上りいましぬ <一には「神登り いましにしかば」といふ> 我が大君 皇子の命の 天の下 知らしめす世は 春花の 貴くあらむと 望月の 満しけむと 天の下 <一には「食す国といふ」> 四方の人の 大船の 思ひ頼みて 天つ水 仰ぎて待つに いかさまに 思ほしめせか つれもなき 真弓の岡に 宮柱 太敷きいまし みあらかを 高知りまして 朝言に 御言問はさず 日月の 数多くなりぬる そこ故に 皇子の宮人 ゆくへ知らずも <一には「さす竹の 皇子の宮人 ゆくへ知らにす」といふ> 万167 反歌二首 ひさかたの天見るごとく仰ぎ見し 皇子の御門の荒れまく惜しも 万168 *天を仰ぎ見るようにしていた皇子の邸宅が荒れているのが残念です。 あかねさす日は照らせれどぬばたまの 夜渡る月の隠らく惜しも <或本には、件の歌をもちて、後皇子等の殯宮の時の歌の反とす> 万169 *昼は日が照っているけれども、夜の月が雲で隠されてしまうのが残念です。 或る本の歌一首 島の宮まがりの池の放ち鳥 人目に恋ひて池に潜かず 万170 *島の宮の池に放たれている鳥は、人目が恋しいのか水に潜ろうとしません。 【似顔絵サロン】柿本人麻呂(660-724)の同時代人。 孝謙天皇 こうけんてんのう 718 - 770 52歳。第46代天皇。在位:749 - 758 四つの船早帰り来しとしらか付く 我が裳裾に斎ひて待たむ 万4265 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://man