万葉集巻第十九4166-4168番歌(時ごとにいやめづらしく)~アルケーを知りたい(1561)

▼家持はよほどホトトギスが好みだったのだろう。鳴き声を聞ける期間も限られているし。
4166番ではいくら鳴いても聞き飽きない、という。タイトルにホトトギスとその時期の花を詠むとあるので、分かりやすくて助かる。4167番はホトトギスではなく花を詠っている。4168番では、ホトトギスに戻る。いつも聞けないから偲ぶ気持ちになるのだ、と詠う。

 霍公鳥幷せて時の花を詠む歌一首 幷せて短歌
時ごとに いやめづらしく
八千種に 草木花咲き
鳴く鳥の 声も変らふ
耳に聞き 目に見るごとに
うち嘆き 萎えうらぶれ
偲ひつつ 争ふはしに
木の暗の 四月し立てば
夜隠りに 鳴くほととぎす
いにしへゆ 語り継ぎつる
うぐひすの 現し真子かも
あやめぐさ 花橘を
娘子らが 玉貫くまでに
あかねさす 昼はしめらに
あしひきの 八つ峰飛び越え
ぬばたまの 夜はすがらに
暁の 月に向ひて
行き帰り 鳴き響むれど
なにか飽き足らむ 万4166
*季節ごとの花と鳥の変化を見たり聞いたりして心を打たれる。ホトトギスは昼も夜も鳴き声を響かせるが聞き飽きることがない。

 反歌二首
時ごとにいやめづらしく咲く花を 折りも折らずも見らくしよしも 万4167
*四季折々に新たに咲く花は、折ろうと折るまいと、見て楽しいものである。

毎年に来鳴くものゆゑほととぎす 聞けば偲はく逢はぬ日を多み 毎年、としのはといふ 万4168
 右は、二十日に、いまだ時に及らねども、興に依りて預め作る。
*毎年、やってきては鳴くホトトギス。その声を聞くと恋しさが募るのは、逢えない日が多いからか。

【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:粟田 奈勢麻呂 あわた の なせまろ ? - 767神護景雲元年9月26日 奈良時代の貴族。764年、藤原仲麻呂の乱終結後、遠江守を解任、失脚。
















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19

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