万葉集巻第十九4156-4158番歌(紅の衣にほはし)~アルケーを知りたい(1558)
▼今回は、富山県高岡市に流れていた辟田川(さきたがわ)を詠った歌。春、鮎を獲りに、夜、鵜飼の者を伴って夜、かがり火を焚きながら辟田川の流れに入って歩く。妻が送ってくれた紅色の衣の裾が濡れるという歌。文字で視覚を刺激してくれる歌。
鵜を潜くる歌一首 幷せて短歌
あらたまの 年行きかはり
春されば 花のみにほふ
あしひきの 山下響み
落ち激ち 流る辟田の
川の瀬に 鮎子さ走る
島つ鳥 鵜養伴なへ
篝さし なづさひ行けば
我妹子が 形見がてらと
紅の 八しほに染めて
おこせたる 衣の裾も
通りて濡れぬ 万4156
*春になって鮎が飛び跳ねる川を上っていると妻が染めて作ってくれた衣の裾がびしょ濡れになる。
紅の衣にほはし辟田川 絶ゆることなく我れかへり見む 万4157
*紅の衣も鮮やかに辟田川の流れが絶えないように、また来てみよう。
年のはに鮎し走らば辟田川 鵜八つ潜けて川瀬尋ねむ 万4158
*毎年、鮎が走る辟田川で、鵜を放って鮎を追いながら川を上りましょう。
【似顔絵サロン】藤原仲麻呂の乱に関係した人々:藤原 執棹 ふじわら の とりさお ? - 764 奈良時代の貴族。藤原仲麻呂の九男。764年、藤原仲麻呂の乱で官軍から一族郎党44人とともに斬殺。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=19
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