アルケーを知りたい(169) 核力 Nuclear force

 ▼核力と核子。核子は陽子と中性子の総称。陽子同士が反発する力を上回る力が核力。核力があるので原子核がぎゅっとまとまっている。では核力はどこから来るのか。陽子と中性子は素粒子ではなくクオークから構成される粒子であることがわかった。ではクオークとは何か?

▼陽子と中性子は素粒子で、核力はπ中間子が媒介する、で話が終われば簡単だったのだが。クオークを知ろうが知るまいが日常生活に支障はない。Society5.0は、古典力学の上に量子力学がもっと浸透する社会になるはず。というのも、量子という言葉を冠した量子計算機に注目が集まっているくらいだから。

▼原子核の話は知るほどに、教育で量子力学的世界観に触れておく必要があるんじゃないか、という気持ちと、とは言っても、誰が・どこまで・どんなふうに説明するのか教材の標準モデルを作るのは難儀だ、という気持ちと、両方ある。

▼そもそも大学の実験室で取り組める規模を超えてから、量子力学の研究が別の世界の話になってしまった気がする。キャベンディッシュ研究所でやっていた時期とローレンスさんが大型加速器を「建設」して大人数で研究し始めてからを比べると、違いの一つは、人の顔が見えにくくなったことがある。もうひとつは、イギリス・ヨーロッパの研究者がアメリカのマンハッタン計画に吸収されて、原子核の研究がアメリカにシフトしたこと。WWIIという時期もあって、目に見える成果として現れたのが原爆だったこと。しかもアメリカは人が住む日本の都市に2発落とした。


▲中性子を発見したジェームズ・チャドウィック James Chadwickさん(1891-1974)

1932年(41才)、中性子を発見。1935年(44才)、ノーベル物理学賞受賞(中性子の発見)。




▲サイクロトロンを発明したアーネスト・ローレンス Ernest Lawrenceさん(1901-1958)

1930年(29才)、サイクロトロンの基礎理論を発表。1939年(38才)、ノーベル物理学賞受賞(サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究)。



▲π中間子を発見した湯川秀樹さん(1907-1981)

1935年(28才)、核子を結合させる強い相互作用を媒介する中間子の存在を予言。1949年(42才)、ノーベル物理学賞受賞(陽子と中性子との間に作用する核力を媒介するものとして中間子の存在を予想)。


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