万葉集巻第二147‐149番歌(天の原振り放け見れば大君の)~アルケーを知りたい(1266)

▼今回は天智天皇が体調不良のときの皇后の歌。147番で本来のあるべき姿を、148番で再会が叶わない悲しみを、149番で崩御の後の気持ちを、詠っている。

 近江の大津の宮に天の下知らしめす天皇の代 天命開別天皇、謚して天智天皇といふ
 天皇聖躬不予の時に、大后の奉る御歌一首
天の原振り放け見れば大君の 御寿(みいのち)は長く天足らしたり 万147
*天を見上げると、大君の寿命は長く天に満ちています。

 一書に曰はく、近江天皇聖躬不予、御病急かなる時に、大后の奉献る御歌一首
青旗の木幡の上を通ふとは 目には見れども直に逢はぬかも 万148
*天智天皇の霊が木幡山の上を通っておられるのが私の目には見える。けれども、直接お目にかかることはできません。

 天皇の崩りましし後の時に、倭大后の作らす歌一首

人はよし思ひ息むとも玉葛 影に見えつつ忘らえぬかも 万149

*ほかの人が天皇の面影を忘れることがあろうとも、私は玉葛の冠を被る天皇のお姿を忘れることはありません。


【似顔絵サロン】古人大兄皇子 ふるひとのおおえのみこ ? - 645年 飛鳥時代の皇族。147‐149番の歌を詠んだ大后の父親。舒明天皇の第一皇子。母は蘇我馬子の娘。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=2



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