源実朝と承久の乱~アルケーを知りたい(982)

源実朝は、百人一首93番歌「世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも」の作者。本シリーズの958回に登場した人物。
▼実朝は後鳥羽上皇と良好な関係だった。しかし兄・頼家の息子に殺されてしまう。その2年後に後鳥羽上皇が承久の乱を起こす。
実朝はすごくビジュアルな和歌の詠み手。映像が浮かんでくるよう。実朝のダーク気味な映像世界に引き込まれる。

源 実朝 / 鎌倉右大臣 みなもと の さねとも 
1192(建久3)年9月17日 - 1219(建保7)年2月13日 27歳。
 鎌倉幕府第3代征夷大将軍(鎌倉殿)。源頼朝の次男。

1204(12) 元服。後鳥羽上皇が実朝と名付ける。
1208(16) 重い疱瘡を患う。回復後、人に会うのを避ける。
1209(17) 藤原定家に自作の和歌三十首の撰を依頼。
1211(19) 飛鳥井雅経(61) が鴨長明(56)を実朝に紹介。
1213(21) 定家から御子左家相伝の万葉集をプレゼントされ大喜びする。
1216(24) 権中納言。大江廣元が急すぎる昇進を諌める:今は先君の遺跡を継ぐばかりで、当代にさせる勲功は無く、諸国を管領し中納言中将に昇られる
1218(26) 権大納言。
1219(27) 鶴岡八幡宮で公暁に襲われ落命。

▼実朝の和歌
湊風いたくな吹きそしながどり 猪名の水うみ船とむるまで
*港の風よ、激しく吹かないでくれ。猪名の港に船を泊めるまで。(万葉集的な印象の歌)

也良の崎 月影さむし沖つ鳥 鴨といふ舟うき寝すらしも
*月影も寒々しい也良の崎の沖に鳥が浮かんでいる。鴨という舟は浮きながら寝ているのか。

旅をゆきし跡の宿守おのおのに わたくしあれや今朝はいまだ来ぬ
*私の旅行中、留守番していた連中は、それぞれ用事でもあるのか今朝はまだ出勤していない。

箱根路を我が越えくれば 伊豆の海や沖の小島に波のよる見ゆ
*箱根の道を越えると、伊豆の海や沖の小島に波が打ち寄せている風景が見える。

わたつ海のなかにむかひて出づる湯の いづのお山とむべも言ひけり
*海の中に向かって出ている温泉だから、伊豆の御山と言うのだね。

伊豆の国や山の南に出づる湯の はやきは神のしるしなりけり
*伊豆の国の山の南で湧き出ている温泉の勢いの早さは神がかっている。

もののふの矢並つくろふ籠手のうへに 霰たばしる那須の篠原 
*武士たちが矢を手入れしている。その籠手の上に降った雨が飛び散っている。那須の篠原にて。

大海の磯もとどろによする浪 われて砕けて裂けて散るかも
*大海の磯に激しくぶつかる波が分けて砕けて裂けて散っている。

出でいなば主なき宿と成ぬとも 軒端の梅よ春をわするな
*私が出て行ったあと主人のいない家になっても、軒先の梅たちよ、春を忘れるのではないよ。

【似顔絵サロン】


































































































〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E5%AE%9F%E6%9C%9D
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/sanetomo.html#VR

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