遍昭の歌~アルケーを知りたい(1048)

遍昭は百人一首12番歌「天つ風雲の通ひぢ吹き閉ぢよ 乙女の姿しばしとどめむ」の作者。
▼改変して天つ風雲の通ひぢ吹き開け 多くの人もの動けるように」。滞って困ることがないよう祈って。
▼紀貫之は遍照を「歌のさまは得たれどもまことすくなし」と評している。こんな怖いことよく言ったものだ。
▼地震で能登の海岸がありえないほど隆起した。「すゑの露もとのしづくや世の中の おくれさきだつためしなるらむ」を改変して「船の底海の底の入れ替わり 新し港を作るためしなるらむ」。

▼遍昭 へんじょう
816(弘仁7)年 - 890(寛平2)年2月12日 74歳。
 僧・歌人。六歌仙、三十六歌仙の一人。桓武天皇の孫。素性法師は息子。紀貫之の遍照評:近き世にその名きこえたる人。僧正遍昭は、歌のさまは得たれどもまことすくなし。例が★印。

849(33) 仁明天皇の蔵人頭。
850(34) 仁明天皇が崩御、出家。
885(69) 京都市山科区花山の元慶寺で僧正。

▼遍昭の和歌と*勝手に解釈
西大寺のほとりの柳をよめる
浅みどり糸よりかけて白露を 玉にもぬける春の柳か
*浅緑色の糸が白露を玉のように貫いている春の柳だ。

はちすの露を見てよめる
はちす葉のにごりにしまぬ心もて なにかは露を玉とあざむく
*ハスの葉は濁りを知らない心を持つものなのに、なぜ露をして人に玉だと欺くのでしょう。

嵯峨野にて馬より落ちてよめる
名にめでて折れるばかりぞ女郎花 我おちにきと人に語るな
*オミナエシという名前が面白くて折り取っただけだ。それで体勢を崩して落馬した。このことは人に言わないでくれよ、女郎花。

里は荒れて人はふりにし宿なれや 庭もまがきも秋の野らなる
*里は荒れて、住む人は年老いた我が家です。庭の真垣も秋の野になっています。

五節の舞姫をみてよめる
あまつ風雲のかよひぢ吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ
*天の風よ、雲が通う道を吹き閉じてくれ、そうして踊っている舞姫の姿をしばし止めてくれ。

題しらず
すゑの露もとのしづくや世の中の おくれさきだつためしなるらむ
*末の露、元の雫、これらは世の中の出来事の順序が後先になる例なのだろう。

題しらず
秋山のあらしのこゑをきくときは 木の葉ならねど物ぞかなしき
*秋の山で嵐が吹いている音を聞くとき、自分は木の葉ではないけれどももの悲しい気持ちになる。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8D%E6%98%AD
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/henjou.html

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