山部赤人の歌~アルケーを知りたい(1075)

山部赤人は百人一首4番歌「田子の浦ゆうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ」の作者。
▼万葉集を見るとこの歌には「赤人が富士の山を望(み)る歌一首併せて短歌」のタイトルがついている。「歌一首」が317番(後日吟味)で「併せて短歌」が318番。この歌は318番のほう。
▼酒でいうと万葉集はにごり酒、百人一首は極上清酒。
▼赤人の歌には心優しさが感じられて気持ちが和らぐ。

▼山部 赤人 やまべ の あかひと 
? - 736(天平8)年、滋賀県で死去。?歳。
 奈良時代の歌人。歌聖。三十六歌仙の一人。
生年不明。千葉県生まれ。役人。聖武天皇の行幸に随行し和歌を詠む。
紀貫之『古今和歌集』の仮名序:人麻呂は、赤人が上に立たむことかたく、赤人は人麻呂が下に立たむことかたくなむありける。

▼山部赤人の和歌と*勝手に解釈
山部宿禰赤人の歌四首
春の野にすみれ摘みにと来こし我ぞ 野をなつかしみ一夜寝にける
*春の野原にすみれ狩りにやって来た。野原が良い感じなので一泊したよ。

あしひきの山桜花日並べて かく咲きたらばいと恋ひめやも
*山桜が毎日咲き続けるとしたら、こんなにも花を恋しがるかな。

我が背子に見せむと思ひし梅の花 それとも見えず雪の降れれば
*妻に見せてやろうと思っていた梅の花。雪が降り積もっているので花かどれか分からない。

明日よりは春菜摘まむと標(し)めし野に 昨日も今日も雪は降りつつ
*明日から春菜を摘もうと思って狙いをつけている野原に、昨日も今日も雪が降っております。

反歌
田子の浦ゆ打ち出いでて見れば真白にぞ 富士の高嶺に雪は降りける
*田子の浦に出かけると富士山の高嶺に真っ白に雪が降り積もっている。

霞をよみ侍りける
昨日(きのう)こそ年は暮れしか春霞 かすがの山にはやたちにけり
*昨日、年が暮れたばかりだというのに、春日山には春霞が立っている。

題しらず
ももしきの大宮人はいとまあれや 桜かざして今日も暮らしつ
*宮廷勤めの人は隙なのか?桜を頭に差して今日も遊んでいるよ。

題しらず
春雨はいたくなふりそ桜花 まだ見ぬ人に散らまくも惜し
*春雨よ、あまり降らないでね。というのも、散ってしまうとまだ桜花を見てない人が惜しむからね。

山の端に月のいざよふ夕暮は 檜原がうへも霞みわたれり
*山の端で月が出るのをスタンバイしている夕暮れ時。檜原の上に霞がかかっている。

題しらず
あしびきの八重山こえてほととぎす 卯の花がくれ鳴きわたるなり
*卯の花に隠れて鳴くホトトギスの声が山をいくつも越えて聞こえる。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E9%83%A8%E8%B5%A4%E4%BA%BA
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/akahito2.html

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