万葉集巻第七1223‐1228番歌(海の底沖漕ぐ舟を)~アルケーを知りたい(1351)
▼海ゆく舟の歌。1223番はなぜ「海の底」というのか分からないけど、沖合を進む舟をよく見たいからこっちに引き寄せたいという気持ちの歌、と思う。「海の底」いるのかなあ。
海の底沖漕ぐ舟を辺に寄せむ 風も吹かぬか波立てずして 万1223
*沖を漕ぎ進んでいる舟をもっとこちらに寄せてくれる風が吹いてくれないものか、波は立てずに。
大葉山霞たなびき夜更けて 我が舟泊てむ泊り知らずも 万1224
*大葉山に霞がたなびいています。夜になったというのに私の乗る舟はどこに停泊するかまだわかりません。
さ夜更けて夜中の方におほほしく 呼びし舟人泊てにけむかも 万1225
*夜が更けて、はっきりしない声で呼びかけ合っていた舟人たちは、どこかよい所に舟を泊められたのだろうか。
三輪の崎荒磯も見えず波立ちぬ いづくゆ行かむ避き道はなしに 万1226
*三輪崎の荒磯が見えないくらい波が立っています。これからどこに進むのでしょう。避ける道もないというのに。
磯に立ち沖辺を見れば藻刈り舟 海人漕ぎ出らし鴨翔る見ゆ 万1227
*磯に立って沖を見やると、漁師が藻刈り舟を漕ぎ出しているらしい、鴨が飛んでいるのが見えます。
風早の三穂の浦みを漕ぐ舟の 舟人騒く波立つらしも 万1228
*風早の三穂の浦あたりで舟の船頭が騒いでいます。どうやら、これから海が荒れるらしい。
【似顔絵サロン】同時代の乱、藤原広嗣の乱の関係者:凡河内 田道 おおしこうち の たみち ? - 740年 奈良時代の武人。藤原広嗣の乱で、大野東人の率いる追討軍に討たれ戦死。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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