万葉集巻第八1534‐1538番歌(我が背子をいつぞ今かと)~アルケーを知りたい(1392)
▼1534のオミナエシとハギは共に秋の七草。1537と1538の雁は、いまは禁猟、当時は食用。今回の5首には空間の広がり、時の推移、風を感じるなあ。
石川朝臣老夫が歌一首
をみなへし秋萩折れれば玉桙の 道行きづとと乞はむ子がため 万1534
*女郎花と秋萩を折り取っておきましょう。旅の土産が欲しいとせがむ人のために。
藤原宇合卿が歌一首
我が背子をいつぞ今かと待つなへに 面やは見えむ秋の風吹く 万1535
*私の夫の帰りを待つうちに、姿が見えないまま秋の風が吹いています。
縁達師が歌一首
宵に逢ひて朝面なみ名張野の 萩は散りにき黄葉早継げ 万1536
*夜会うと朝は逢えない名張野の萩は散りました。黄葉よ、早く萩の後を継げ。
天皇の御製歌二首
秋の田の穂田を雁がね暗けくに 夜のほどろにも鳴き渡るかも 万1537
*秋の田の穂を刈るという雁が、まだ明けやらない夜に鳴きながら飛んでいます。
今朝の朝雁が音寒く聞きしなへ 野辺の浅茅ぞ色づきにける 万1538
*今朝早く寒い中雁が鳴くのを聞きました。野原の浅茅も色づきました。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:来目 塩籠 くめ の しおこ ? - 672年天武天皇元年7月 飛鳥時代の人物。672年、壬申の乱で大海人皇子側。壱伎韓国に計画を知られ自殺。
石川 老夫 いしかわのおきな ? - ? 奈良時代の歌人。
縁達師 えんだちほうし ?-? 奈良時代の僧。縁は百済系の姓。
聖武天皇 しょうむてんのう 701 - 756 第45代天皇。父親は文武天皇。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=8
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