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アルケーを知りたい(88) 光電効果 photoelectric effect

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▼光電効果を調べてみた。金属のような物質に光を当てると電子が出てくる現象。この現象によって光の粒子説がよみがえった。 ▼古典力学で説明できなかったことを説明する新しい物理学である量子力学の登場につながる話なので、表で整理してみた。これまでも同じような表を作った。何のためかというと、いつ・誰がどんな実験でアルケーに近づいたか足跡を知るためである。少しずつ角度を変えた年表でどういう顔ぶれが出てくるのか見るのも楽しい。 ▲アレクサンドル・エドモン・ベクレルさん。フランスの物理学者。1839年、塩化銀の薄膜で覆った白金の電極を電解液に浸し光を照射すると光電流が生じる光電効果の現象を発見。 ▲フィリップ・レナルトさん。ドイツの物理学者。陰極線の研究で1905年にノーベル物理学賞を受賞。ナチス政権時代「ドイツ物理学部門」の代表。

アルケーを知りたい(87) 光の粒子説 particle theory of light

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▼光の粒子説。82回で光の波動説を見たとき粒子説も取り上げたので、下の年表の中味は重複が多い。 ▼粒子説と波動説は、共に強みと弱みがあった。結局、古典力学ではケリがつかず、量子力学の登場によって、光はどっちの性質も持つ、ということになった。 ▲「波動説でなければ説明できない現象」を発見したジャコーモ・マラルディさん。イタリア人でフランスの天文学者。カッシーニさんの甥。 ▲光を伝える媒質「エーテル」の存在を確かめる実験で、否定的な結果を得たアルバート・マイケルソンさん。1907年にアメリカで初のノーベル物理学賞受賞者。

アルケーを知りたい(86) ニュートンリング Newton's rings

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▼ニュートンリング。薄膜の表面に見える模様も同じく光の干渉によるもの。映像にすると印象的。 ▼イギリスの科学者、ロバート・フックさんが観察結果を発表、後にニュートンさんが詳しく言及。光は波動か粒子か。Wikipediaによると、粒子説に立つニュートンさんはリングの説明に苦しみ「光の奇妙な性質を透過あるいは反射のしやすさの発作(fits of easy transmission or reflection)」 と呼んだという。 ▲フックさんの肖像(と見られていたものの、実はフランドルの学者ヤン・ファン・ヘルモントさんと後年判明)。なぜそんなことになったのか。王立協会に飾られていた本物の肖像画が紛失したから。では、なぜ紛失したのか。王立協会が移転したときに失われた・・・なぞだ。

アルケーを知りたい(85) 偏光フィルター Polarizing filter

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▼偏光フィルター。二枚のフィルターの一方を回転させると明るくなったり暗くなったり。カメラ用のフィルターを使うとショーウインドウの中もきれいに撮れる。その不思議で便利な変更フィルターを発明したのがフランソワ・アラゴさん。 ▼アラゴさんが出会った科学者を表の青文字にした。アラゴさんが人と出会うと新しい発見につながる。アラゴさんが関係した科学者を見るだけで当時のイギリスとフランスの物理学の状況が伝わってくる。 ▼アラゴさんタイプの科学者というと、ここに出てきたフンボルトさん、マラン・メルセンヌさん(→51回)、マックス・プランクさんが思い浮かぶ。調べ直すのが楽しみだ。 ▲フランソワ・アラゴさん。20代前半から外国で測量、戦争捕虜、脱出、帰国、その時に測量データを提出するしっかりさ加減が半端ない。生き方をもっと知りたいと思わせる人だ。

アルケーを知りたい(84) フーコーの実験 Foucault experiment

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▼フーコーの実験。装置は、半径4mの(ショートケーキを上から見たような、あるいはピザを8等分したような)扇形に収まる。フィゾーさんの実験では8km離れた場所と光を反射させて観測したのに比べるとずいぶんコンパクト。 ▼中心に毎秒500回転する回転鏡を置き、弧の位置に反射用の鏡を置き、光源から回転鏡に向けて光を放って観察した。フーコーさんの装置は、光路に水などの媒質を設置でき、光速の変化を観察できた。http://fnorio.com/0131Foucault_1850_1862/Foucault_1850_1862.html#1 ▲レオン・フーコーさん。フランスの物理学者。回転鏡を用いた光速度の測定実験で、正確な測定値299,792km/sとの誤差0.6%の値を得た。また、光は空気中のほうが水中より速く伝わるデータを得た。

アルケーを知りたい(83) フィゾーの実験 Fizeau experiment

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▼フィゾーの実験。同じ名前で、歯車を使って光速を測定する実験と流水中の光速を測定する実験がある。今回は前者の話。Wikipediaでは後者の説明がある。 ▼どんな内容なのかは検索して動画を見ると把握しやすい。 ▼光の波動説と粒子説が対立した時代、物理学者のフランソワ・アラゴさんは光が水中と空中のどちらが速く伝わるか確認すれば決着する、と主張。しかし視力の衰えのため自らは実験できずフィゾーさんやフーコーさんが実験した。どれくらいの視力が必要だったか? これは、表に載せたURLの動画を見ると実感できる。メチャ目が良くないと無理。 ちなみにフィゾーさんとフーコーさんは同じ年で、アラゴさんは二人より33才年上。 ▲アルマン・フィゾーさん。光のスピードを測定する地上実験で誤差5%の値を得たフランスの物理学者。フィゾーさんが行った実験は入試に出るくらい歴史的なもの。8,633mの間を置く2点間の間を光が往復する時間を歯数720個の歯車を回転させて測定。

アルケーを知りたい(82) 光の波動説 wave theory of light

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▼光の波動説をWikipediaで調べてみた。光は波なんじゃないか、という説は1690年にホイヘンスさんが提起している。1704年にはニュートンさんが粒子説を出している。 ▼1700年前後の段階で光の波動説、粒子説が出そろった。以後、200年に渡って天体観測や地上での実験が積み重なる。量子力学という古典力学がカバーできない範囲をカバーする新しい学問が出てくる。で、量子力学は、光が波動と粒子の両方の性質を持つ、と結論を出す。 ▼ホイヘンスさんは光が波ならば波を伝える媒質がないとおかしい。そこでエーテルと名付けた。量子力学では、エーテルとは言わず、場という。 ▼以下、独り言。私は真空が何なのか分からなくなっている。原子核と電子の間の膨大な空間は真空だという。真空だらけの原子が集まったらなぜ確固として物質になるのか、つながりが分からん。宇宙は真空の中に星がある。真空の中を光はどうやって伝わるのか、エーテルを場と言い換えても、分からんなあ。アルケーを知りたい。 ▲フランソワ・アルゴさん。フランスの天文学者、物理学者、政治家。たくさんのプロジェクトを行った人で、フレネルさんと光学研究もその一つ。ピエール=シモン・ラプラスさん(数学)、ゲイ=リュサックさん(化学者)、ジャン=バティスト・ビオさん(天文学者)らとの研究がある。