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万葉集巻第1_60番歌(宵に逢ひて朝面なみ)~アルケーを知りたい(1765)

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▼今回は序が長いタイプの歌。「夜どおし一緒にいて朝顔を合わせるのが憚られるという名張」という名張にかかる序。その名張で作者の彼女は 何日も忌籠りを続けている。作者は一人で寂しいのだろう(笑)。 長皇子の御歌 宵に逢ひて朝面 (あしたおも) なみ名張 (なばり) にか 日 (け) 長く妹が廬 (いほ) りせりけむ  万60 *名張で何日もあの子は忌籠りしているのでしょう。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_59番歌(流らふるつま吹く風の)~アルケーを知りたい(1764)

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▼今回の59番歌は、持統上皇が三河の国に行幸して都に戻って開かれた宴での歌。夫が随行している間、家を守っていた妻の気持ちを詠った作品、と解釈することにした(笑)。上皇を囲む会だったのか、上皇がいないところで行幸関係者が集まった会だったのか。はてさて。 誉謝女王が作る歌 流らふるつま吹く風の寒き夜に 我が背の君はひとりか寝らむ  万59 *絶え間なく家の妻側に吹きつける風が寒い夜。私の夫はひとりで寝ておられるのでしょう・・・。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_58番歌(いづくにか舟泊てすらむ)~アルケーを知りたい(1763)

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▼今回の歌、小舟が水の上を動いている風景を詠った作品。水墨画になりそうな風景。安礼の崎をふわふわと漕ぎ廻る小舟を眺めながら、この舟、どこに行くつもりなのかと思う高市黒人。画にするとしたら、舟と舟を眺める高市黒人を遠景から描くのが良さそう。 いづくにか舟泊 (は) てすらむ安礼 (あれ) の崎 漕ぎ廻 (た) み行きし棚なし小舟  万58 *どこに舟を泊めたのでしょうか、安礼の崎を漕ぎ廻って行った棚なし小舟は。  右の一首は 高市連黒人 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_57番歌(引馬野ににほふ榛原)~アルケーを知りたい(1762)

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▼今回は、紅葉の野原に入って服を染めましょうやと呼びかける歌。上手い!マネしたい!!    二年壬寅に、太上天皇、三河の国に幸す時の歌  引馬野 (ひくまの) ににほふ榛原 (はりはら) 入り乱れ 衣にほほせ旅のしるしに  万57 *引馬野に咲き誇っている榛原にみんなで入って、衣に色を染め付け旅の印にしましょう。  右の一首は 長忌寸意吉麻呂 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_56番歌(川の上のつらつら椿)~アルケーを知りたい(1761)

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▼今回は前の54番で見た坂門人足の「つらつら椿つらつらに」のフレーズが出て来る歌。伊藤先生の脚注によると、56番のこの歌が54番の原歌かも知れないとのこと。54番では巨勢が二度出て来るが56番は一度きり。老のこの歌を見ていると、巨勢の春野を眺めている気がしてくる。どちらにしても、つらつら気分になるのは精神に良さそう。 或る本の歌 川の上のつらつら椿つらつらに 見れども飽かず巨勢の春野は  万56  右の一首は 春日蔵首老 。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_55番歌(あさもよし紀伊人)~アルケーを知りたい(1760)

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▼今回の歌の冒頭の「あさもよし」は紀伊の枕詞で、特産の麻裳が良い、という意味。紀伊は「朝も良し」と思ってたら、違ってました。で、この歌の本意は何だろうか。紀伊の人はどこかに 行くときもどこからか来る時も 真 土山を 眺められるから羨ましい、といって真 土山と紀伊の人を誉めることにありそう。調淡海にそこまでいわれると見たくなる。 あさもよし紀伊人羨しも真土山 行き來と見らむ紀伊人羨しも  万55 *紀伊の人がうらやましいです。行くときも来るときも真土山を眺められるのですから、紀伊の人がうらやましいです。   右の一首は調音淡海。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

万葉集巻第1_54番歌(巨勢山のつらつら椿)~アルケーを知りたい(1759)

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▼今回は「つらつら」の響きが楽しい春の歌。持統上皇が紀伊の国に行幸した。この歌の作者、坂門人足は同行してこの歌を詠ったのか、都で留守番をして巨勢の春野に思いを馳せたのか、どっちだろう。  大宝元年辛丑の秋の九月に、太上天皇、紀伊の国に幸す時の歌 巨勢山 (こせやま) のつらつら椿つらつらに 見つつ偲はな巨勢の春野を  万54 *巨勢山のつらつら椿をゆるりと眺めながら巨勢の春の野原に思いを馳せましょう。  右の一首は坂門人足。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1