万葉集巻第十1882‐1885番歌(物皆は新しきよし)~アルケーを知りたい(1444)
▼1882番は好きなキーワード「思ふどち」が出て来る歌。よき。1883番は「梅をかざして」いる人たちの心持ちが楽しい。能では竹の枝を持つと気がふれている様を表す。和歌では梅をかざすと楽しい場面を思わせる。何を持つかで状況説明ができるのだ。1884番と1885番は人の老いを詠った作品。84番で「そうだねえ」と思い85番で「それそれ、それですよね」と思ふ。前向きな気持ちにしてくれる歌。 春の野に心延べむと思ふどち 来し今日の日は暮れずもあらぬか 万1882 *春の野でのんびりしようと思い、気心知れた仲間と出かけました。今日が暮れないと良いのに。 ももしきの大宮人は暇あれや 梅をかざしてここに集へる 万1883 *大宮人は暇なのだろうか、梅を簪にしてここに集まっているけど。 歎旧 冬過ぎて春し来れば年月は 新たなれども人は古りゆく 万1884 *冬が過ぎて春になれば年月は新しくなるけれども、人は古びるのです。 物皆は新しきよしただしくも 人は古りにしよろしかるべし 万1885 *物はなんでも皆新しいものが良い。でも人は古びるのが良いのだよ。 【似顔絵サロン】740年、ポスト藤原広嗣の乱の人々: 道鏡 どうきょう 700 - 772 奈良時代の僧侶。平将門、足利尊氏とともに「日本三悪人」。 〔参考〕 伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。 https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=10