アルケーを知りたい(53) 自由落下 free fall

▼中学理科室のデモで印象的だった実験がある。横に寝かせた2本のガラス管の片方には鳥の羽を、もう片方にはビー玉を入れる。同時にガラス管を立てると、羽はゆっくり落ち、ビー玉はあっという間に落ちる。これ当然。しかし、真空ポンプでガラス管の空気を抜いて同じことをすると、両方ともあっという間に落ちる。

▼自由落下を見出したガリレオさんは、物体の重さやサイズと関係ない、斜面を転がる物体も、振り子も同じことだと見破った。モノが落ちる力は重力に由来する。重力による加速度は重力加速度といって記号はg、値は秒の二乗ごとに9.8mである。ガリレオさんすごい。ここまでは、ある範囲の中でばっちり成立する古典力学の話。

▼量子物理になると重力が新しいものに見える。重力は「4つの力」の一つ。重力の源泉は質量。重力の到達距離は無限大、しかし、強さは(というか弱さは)メチャ微小。重量をもたらす重力子というゲージ粒子があるだろうと予想されている。けれどいまだ発見されていない。



▲ガリレオ・ガリレイさん。イタリアの物理学者、天文学者。「振り子の等時性」「斜面上をころがる物体の運動」。地動説を理由にローマ教皇庁から『天文対話』は発禁、異端審問で軟禁される経験。「近代科学の父」「天文学の父」

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