アルケーを知りたい(294) リーゼ・マイトナー/Lise Meitner_その5 ヴィルヘルム2世

今回の話題(B)フリッシュさんの叔母で物理学者のリーゼ・マイトナーさん

▼フリッシュさんの記述:(1)She worked (and later lived) at one of the Kaiser Wilhelm Institutes, the one for chemistry, and did radioactive reseach, of which I understood very little at that time. リーゼ・マイトナーはカイザー・ウィルヘルム協会の化学関係の研究所で働いていて、放射能の研究をしていたが、当時、私は彼女の研究について殆ど理解できなかった。

(2)just the time before the idea of the neutrino was first proposed, and at the time when quantum mechanics had just been launched on its conquest of atomic physics. ニュートリノの考えが最初に提案される直前であり、また量子力学が原子物理学の征服へ、ちょうど船出した時であった。

〔出所〕

オットー・フリッシュ著、松田文夫訳(2003)『何と少ししか覚えていないことだろう』吉岡書店。p.37

Otto Robert Frisch (1979),  What little I remember. Cambridge University Press. p.31

▼感想:今回、なぜこの文をピックアップしたか。キーワードがあるからだ。カイザー・ヴィルヘルム協会、放射能、ニュートリノ、量子力学、原子物理学。キーワードごとに背景がある。前に少しさらっているのでここでは確認を省く。ただ、ニュートリノが出てきて、それまで原子は原子核と電子からなる、と理解できていたのが崩れて、やっかいな世界が始まってしまう。始まらないと、原子核の中のメンバーはプラスか中性なのに、なぜ反発離散せずに固く結びついているのか、説明がつかない(もっともその説明も理解できないのだけど)。▼放射能の研究に携わった化学者と物理学者の寿命の長短はどこで決まるのだろうか。オットー・ハーンさん、リーゼ・マイトナーさんは89才。マリー・キュリーさんは66才、娘のイレーヌ・ジョリオ=キュリーさんとその夫のフレデリック・ジョリオ=キュリーさんは58才。放射能の影響、体質その他の要因の組み合わせなのだろうか。


ヴィルヘルム2世
 Wilhelm II.
, 1859年1月27日 - 1941年6月4日 第9代プロイセン王国国王・第3代ドイツ帝国皇帝。1911年にネルンストさんの提案を受け、カイザー・ウィルヘルム協会を設立。1948年からマックス・プランク協会。







ヴァルター・ネルンスト
 
Walther Nernst, 1864年6月25日 – 1941年11月18日 ドイツの化学者。1920年、ノーベル化学賞受賞(熱化学の研究 “in recognition of his work in thermochemistry”)。 

→アルケーを知りたい(203) https://gakuryokuup.blogspot.com/2021/09/203-1920.html

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