光速の計算:アルケーを知りたい(429)

今回の話題は(A)物理学。

光は1秒で30万km進むから、速さコンテストをすれば圧倒的・史上最速・最強の存在。ただ、1秒は実感ですぐ分かるけど、30万kmという距離感は日常の距離感覚ではちょっと想像しにくい。例えば30cmなら親しみが持てる。そこで、光は30cm進むのにどれくらいの時間がかかっているのか、を計算してみる。

コード
c = 30000000000
time = 30 / c
print(time)

実行すると答えは 1e-09
「e-09」は小数点以下のゼロが9つ並ぶ、という意味だから、0.0000000001秒ということだ。ゼロが9つ並んだ単位はナノなので、1ナノ秒だ。

光が30cm進むのにかかる時間は1ナノ秒、と分かった。
しかし、新しい問題が出た。1ナノ秒は小さすぎて日常の距離感覚からは想像しにくい。
▼結局、ここで分かることは、超大きいまたは超小さい数字が出てくると、日常感覚ではイメージしにくい、ということ。伝えるための努力をひとつ紹介しておこう。
▼プログラマのグレース・ホッパーさん(1906 - 1992)は、長距離の通信に時間がかかる理由を人々に分かってもらうため、30cmに切ったワイヤーを渡して説明した、というエピソードがある。

▼今日の人物:コードの変数に c を使った。適当にcにしたのではなくて理由がある。かつて cラテン語で速さの意味のceleritas) をヴィルヘルム・ヴェーバーさん(1804 - 1891)らが論文で使ったことから、以降、光速の記号がcとなった。
ヴェーバーさんは、ドイツの物理学者。ゲッティンゲン大学ハレで博士。ガウスさん(1777-1855)の推薦を受け、27歳にしてゲッティンゲン大学の物理学教授。29歳のとき、ガウスさんと共同で最初の電磁電報を開発しゲッティンゲン大学物理研究所と天文台の間を接続。電磁気のパイオニア。ガウスさんと共に電磁単位系を作った。磁束の単位がWb(ウェーバ)。

〔参考〕
有山智雄et al.『中学総合的研究 理科[四訂版]』旺文社。
平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。
https://en.wikipedia.org/wiki/Wilhelm_Eduard_Weber

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