甘藷(かんしょ)先生・青木昆陽:アルケーを知りたい(440)

今回の話題は人物ネットワーク

▼1700年代のフランス科学アカデミーでは、
地球が横に長い回転楕円体なのか、縦に長いのかで論争があった。この決着をつけるため、測量隊が調査に乗り出した。これが1735年のこと。だいたい5年の調査で地球は横に長い扁球と結論が出る。このあたり面白い人とエピソードが芋づる過ぎて、すぐ取っ散らかるので、おいおい少しずつ見て行く。
この時代、日本では誰が何をしていたか、ちょっと見てみよう。

▼今日の人物:青木昆陽(あおき・こんよう 1698 - 1769)さん。飢饉の防止策として、サツマイモ栽培の普及を図り、人々から甘藷先生(かんしょせんせい)と呼ばれた人物。1732年に起きた享保の大飢饉で日本中が食料不足に陥る中、薩摩にはサツマイモがあった。これを知った青木昆陽さんは8代将軍・徳川吉宗さんに江戸でのサツマイモ栽培を進言、採用される。サツマイモのミッションが終わった後は吉宗さんからオランダ語の習得を命ぜられる。猛勉強の結果、蘭学の先駆者になる。弟子に『ターヘル・アナトミア』を訳した医師・蘭学者の前野良沢さんがいる。
前野良沢さんは西洋の天文情報を入手しようとしていた高橋至時さんの人脈ネットワークの一人。至時さんが『ラランデ暦書』に出会ったのは1803年、江戸幕府若年寄の堀田正敦さんから渡されたからだ。堀田正敦さんは8代将軍・徳川吉宗さんが始めた暦の改訂事業を完遂するため、至時さんや伊能忠敬さんをバックアップしていた。

▼人物とキーワード
青木昆陽:甘藷先生、蘭学の先駆者 師匠=伊藤東涯、弟子=前野良沢
前野良沢:蘭学者、医者 『解体新書』(1774) 師匠=青木昆陽、弟子=司馬江漢、大槻玄沢
高橋至時:天文学者、幕府天文方 『寛政暦』(1798) 師匠=麻田剛立、弟子=伊能忠敬
伊能忠敬:商人、天文学者、測量家 『大日本沿海輿地全図』(1821) 師匠=高橋至時 
堀田正敦:江戸幕府で42年間若年寄 寛政の改革を推進 測量事業をバックアップ
ヨハン・アダム・クルムス:ドイツの解剖学者『ターヘル・アナトミア』(1722)
ジェローム・ラランド:フランスの天文学者『ラランデ暦書』(1771)

〔参考〕
有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。
平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E6%9C%A8%E6%98%86%E9%99%BD

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