師匠・弟子・仲間のネットワーク:アルケーを知りたい(450)

今回は・・・閑話休題。

▼この数回、
電流・電圧・抵抗・熱を見た。人との関係でいうと、電流はアンペールさん、電圧はボルトさん、抵抗はオームさん、熱はジュールさん

▼時代の幅を見ると、ボルタ電池が1800年、アンペールの法則が1820年、オームの法則が1827年、ジュールの法則が1840年。ということは、ボルタ電池が登場してから、熱量Q = 電流Iの2乗 ✖ 抵抗R ✖ 時間t ジュールの法則に至るまで40年の年月がかかっている。

▼40年の蓄積と発展が中学理科では数ページに濃縮されている。理科の教科書、恐るべし。

▼国で見ると、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス。物理学者は国際ネットワークの中で仕事をしていたことが分かる。

▼教育を見ると、家庭教育と学校が混在している。職業は大学の先生が4名中3名。
▼師弟関係を見ると、はっきりしているのはオームさん。オームさんはラングスドルフさんという良き恩師に恵まれた人だ。だから今日の人物で紹介した。

▼欲しいけど実現方法が分からないアプリ:人脈は、同時代の人を辿っても、師弟関係を辿っても、どちらも面白い人がつぎつぎに現れてくる。しかし、どう整理すれば人脈の面白さを可視化できるのか、まだその方法が見つかってない。Wikipedia式に人名を押すとリンク先に飛ぶ以上の方法がないものか。

▼4名の名簿(生年順)
アレッサンドロ・ボルタ Alessandro Volta、1745 - 1827 国▽イタリア。教育▽不明。業績▽メタンガスの発見(1777、32歳)、世界初の化学電池を発明(1800、55歳)。職業▽物理学者、パヴィア大学で教授。人脈▽ルイージ・ガルヴァーニ、アンソニー・カーライル、ウィリアム・ニコルソン、ナポレオン・ボナパルトほか

アンドレ=マリ・アンペール André-Marie Ampère、1775 - 1836 国▽フランス。教育▽父親~フランス革命。呼称▽電磁気学の礎、電気・電流・電圧の語彙の創始者。業績▽アンペールの法則(1820、45歳)。職業▽物理学者、数学者、エコール・ポリテクニーク等で教授。人脈▽エルステッド、アボガドロ

ゲオルク・ジーモン・オーム Georg Simon Ohm、1789 - 1854 国▽ドイツ。教育▽エアランゲン大学で博士。師匠▽数学者のカール・フォン・ラングスドルフさん。業績▽オームの法則(1827、38歳)。職業▽ニュルンベルク工科大学等で教授。

ジェームズ・プレスコット・ジュール James Prescott Joule、1818 - 1889 国▽イギリス。教育▽家庭教師。業績▽ジュールの法則(1840、52歳)。職業▽実験家。実家が資産家。人脈▽ジョン・ドルトン、ウィリアム・トムソン、ジョージ・ストークス、マイケル・ファラデー、ジェームズ・マクスウェル

▼今日の人物:オームさんの師匠、カール・フォン・ラングスドルフさん
カール・フォン・ラングスドルフ Karl Christian von Langsdorf、1757 - 1834 ドイツの数学者。エアフルト大で博士。1798年から1804年まで、エアランゲン大学で教授。この時期、15歳だったオームさんが弟子について数学を学ぶ。20歳になったオームさんには、オイラー、ラプラス、ラクロワらの著作を読んで自分で勉強するよう勧めた。1804年からハイデルベルクで教授。

〔参考〕
有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。
平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。
https://de.wikipedia.org/wiki/Karl_Christian_von_Langsdorf

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