国際単位系(SI)の電流ampere:アルケーを知りたい(465)

今回の話題は(A)物理学。

▼電流の単位は、アンペアA

▼日常生活や中高の理科では、電気の流れる量の大小を表すのが電流、単位はアンペアAである、と知っておけば問題ない。ハサミやドライバーのように電流(という概念)も必要な時にすぐ使える道具になっている。ありがたい話である。

▼定義の今昔。電流は、電磁気学の歴史と歩みが同じである。電磁気学が難しい話なので、電流の定義もハナから難しい。Wikipedia によれば「真空中に1センチメートルの間隔で同じ大きさの電流が流れているとき、両者の間に働く力が1センチメートルにつき2ダインであるときの電流」となっている。
現在:電気素量を十の十九乗分の一・六〇二一七六六三四クーロンとすることによって定まる電流(計量単位令、別表第一、第二条関係四、電流、アンペア)

▼現在の定義では、電気素量とクーロンがキーワードになっているので、平尾物理(pp.420-421)でこの二つを確認しておこう。
電気素量:電子や陽子1個の持つ電気量の大きさ。値は、e = 1.60 ✖ 10のマイナス19乗C(クーロン)
クーロン〔C〕:電気量の単位である。1Cは1s間に1Aの電流によって運ばれる電気量。

▼平尾物理(p.468)では、電流の単位を「電流の単位はアンペア〔A〕である。これは、クーロン〔C〕と秒〔s〕から組み立てられ、〔A〕=〔C / s〕である、と説明されている。ここは読み方がちょっと難しい。「組み立てれられ」に引っかかると、アンペアは組立単位なのか、と思ってしまう。国際単位系SIではアンペアは基本単位でクーロンが組立単位である

▼今日の人物 アンペアの由来になったフランスの物理学者。
アンドレ=マリ・アンペールさん(André-Marie Ampère、1775 - 1836) 教育▽ルソーの教育論を実行した父親の指導。14歳でディドロさんとダランベールさんの『百科全書』20巻を読破。18歳で当時の数学の研究成果を学び終える。 職業▽パリのエコール・ポリテクニークやコレージュ・ド・フランスで教授 実績▽52歳のときアンペールの法則を発表。電気、電流、電圧などの用語を創る。電流と磁束の右ねじの法則。 人脈▽ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブルさん(フランスの数学者。子午線弧長の測量を行った)、ハンス・クリスティアン・エルステッドさん(デンマークの物理学者。エルステッドさんの論文に刺激を受けてアンペールさんは磁性と電気の関係を研究)、アメデオ・アヴォガドロさん(イタリアの物理学者。アンペールさんも独自でアボガドロの法則と同じ発見をしていた)、ジャン=ジャック・アンペール(父親。実業家。治安判事。フランス革命時、ギロチンの犠牲者になる)

〔参考〕
有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。
平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。
https://en.wikipedia.org/wiki/Andr%C3%A9-Marie_Amp%C3%A8re

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