電気容量の単位、ファラドF:アルケーを知りたい(480)

今回の話題は(A)物理学。

▼今回は電気容量の単位、
ファラドの話。この名称はファラデーさんに由来している。
電気容量はオランダのライデン大学で発明された有名なライデン瓶から始まる。

▼ライデン瓶は、ガラス瓶の内側と外側に金属の膜を貼り、膜の間で電荷を溜めたり放出する装置である。
この装置を日本語では蓄電器、英語ではキャパシタcapacitor、ドイツ語ではコンデンサkondensatorという。ところで、私はギター用の真空管アンプを作ったとき、コンデンサの向きを間違えてはんだ付けしたことがある。コンデンサにはプラス・マイナスの向きがあるので、反対に付けるとコンデンサがダメになる。そのときは真空管アンプの師匠がチェックして見つけてくれた。「よくあるんですよ」と言っていたので、自作する人は気を付けよう。

▼蓄電器が蓄える電気量Q(クーロン、単位はC)は、C ✖ V で計算する。Vは電圧。
Cが今回取り上げた電気容量(あるいは静電容量)で、単位はファラドFである。
ここは、電気量と電気容量と言葉が似ていること、クーロンの単位がCであることなど、紛らわしい。

▼Cの算出法は、電極につないだ片方の薄板の面積を両者の間隔で割って求める(誘電率の話は略す)。だから薄板の面積が大きいほど、また、距離が近いほど静電容量は大きくなる。

ファラド一クーロンの電気量を充電したときに一ボルトの直流の電圧を生ずる二導体間の静電容量
(計量単位令、別表第一、第二条関係三十八で定義されている静電容量)

▼コンデンサの単位について。μF(マイクロファラド)やpF(ピコファラド)がよく使われる。真空管アンプの世界では、μFで、電圧400V以上のものを選ぶべし、となっている(林正樹著、『真空管ギターアンプの工作・原理・設計』、株式会社ラトルズ、2014年)。

▼今日の人物 ライデン瓶を発明したオランダの物理学者
ピーテル・ファン・ミュッセンブルークさん(Pieter van Musschenbroek 1692 - 1761) 教育▽26歳のときライデン大学で医学博士 職業▽ライデン大学等で教授 実績▽摩擦式の起電機で作った電荷を貯める装置、ライデン瓶を発明 人脈▽ルネ・レオミュールさん(温度単位「レオミュール度」を考案したフランスの物理学者、ミュッセンブルークさんがライデン瓶の実験結果を手紙で伝えた相手)、ジャン=アントワーヌ・ノレットさん(ムッシェンブロークさんの発明をライデン瓶と命名したフランスの物理学者)、
ジョサイヤ・クラークさん(イギリスの電気技師、1861年に電荷の単位としてファラドを提案)、チャールズ・ブライトさん(大西洋横断電信ケーブル敷設を監督したイギリスの電気技師、1861年にクラークさんと共に電荷の単位としてファラドを提案

〔参考〕
有山智雄et al.『中学総合的研究 理科〔四訂版〕』旺文社。
平尾淳一『総合的研究 物理』旺文社。
https://en.wikipedia.org/wiki/Pieter_van_Musschenbroek

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