ステヴィンと力の平行四辺形:アルケーを知りたい(519)
今回の話題は(A)物理学。
▼今回は、中学理科の物理でお馴染み、斜面上のつり合いを図示する「力の平行四辺形」を発見したベルギーの学者、シモン・ステヴィンさん。
▼この人はヨーロッパでしょっちゅう戦争が起こっていた時代に、オランダの運河・水門・要塞の建設監督だった。現実の建造物を作る実務の人。また、アルキメデスの研究家として、力学の計算もきっちり行う数学者・物理学者。
▼ステヴィンさんがすごいのは、例えば重さの違う物体を落下させて落下速度が同じであることを実験で確かめていたこと。道具の数学を使いやすいよう改善して、小数や記号を導入したこと。クリエイティブを地で行く見本。
【時代環境】オランダはスペインと八十年戦争中。1602年、オランダはイギリスに対抗して東インド会社を設立。1600年、ヤン・ヨーステンやウィリアム・アダムスが乗り込んでいたリーフデ号が日本に漂着。1609年、東インド会社は江戸幕府と朱印状貿易を開始。
【教育】ライデン大学
【職業】会計職やマウリッツの家庭教師。ライデン大学で工学研究者。オランダ陸軍主計総監
【業績】オランダ総督になったマウリッツの要請を受けてライデン大学で工学部創設委員長、オランダの運河や水門工事を監督。要塞建設の第一人者。
『十進法』(1585)ヨーロッパで初めて小数を提唱した。+や-の記号も導入した。
『吊り合いの原理』(1586)力の平行四辺形の法則を発見。重さが10倍違う物体を同時に自由落下させる実験を実施。
【ネットワーク】
ジョセフォ・ザルリーノ 1517 – 1590 イタリアの音楽理論家、作曲家。ステヴィンの師匠
ヴィンチェンツォ・ガリレイ 1520 - 1591 イタリアの音楽理論家、リユート奏者。ガリレオの父。平均率を研究したステヴィンの先輩
マウリッツ・ファン・ナッサウ 1567 - 1625 母国オランダの富国強兵に尽力した総督。日本との交易ではオランダ国王。ステヴィンはマウリッツの子供時代から家庭教師、長じてからは顧問を担当
【似顔絵サロン】
〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Simon_Stevin
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