振子時計を発明した~ホイヘンス:アルケーを知りたい(533)

今回の話題は(A)物理学。

振子の等時性を発見したガリレオ振子の等時性を活用して時計にしたのがホイヘンス。高校物理では波の伝わり方でホイヘンスの原理が出てくる。

▼世界史で「ナントの勅令」という用語が出てくる。ホイヘンスがフランスで20年近く働くことができたのはナントの勅令があったから。1685年に廃止されるとホイヘンスはフランスで働けなくなり、オランダに戻る。こういう影響を及ぼしたのがナントの勅令である。

▼ホイヘンスの父親がガリレオやデカルトと友達だったので、クリスティアーンはこういう人たちと話をして考え方や実験方法を知るという経験ができた。

▼クリスティアーンの魅力は多いので、箇条書きしてみた。
・ハープシコードを弾いていた。音律は平均率が好きだった。
・航海用の時計(マリン・クロノメーター)を作るのが狙いで振子時計を作った。しかし振子時計は揺れる船では使えなかった。後年、懐中時計を発明してマリン・クロノメーターの足がかりを作る。
・レンズ磨きオタクだった。
・周囲の人と摩擦を起こすタイプではなかった。
・父親が外交官でヨーロッパの知識人とネットワークがあり、クリスティアーンの無形資産になった。
・鬱に苦しんだ。
・生まれたときから56歳までカトリックvsプロテスタントの対立の影響下にあった。

クリスティアーン・ホイヘンス Christiaan Huygens 1629 - 1695
オランダの数学者・物理学者・天文学者 理論物理学者の祖、近代数理物理学の創始者
【時代環境】
1568 - 1648 ~ 80年戦争(対スペインのオランダ独立戦争)
1598 - 1685 ~ ナントの勅令(フランス王がプロテスタントにカトリックと同じ権利を認めた)
1618 - 1648 ~ 30年戦争(カトリックvsプロテスタント戦争@ドイツ)
【教育】家庭教師。ライデン大学
【職業】フランス科学アカデミー研究者
【業績】
1655、自作望遠鏡で土星のタイタンを発見。翌年、オリオン大星雲を発見
1657、『振子時計』を発明、特許取得。ヨーロッパ中に普及
1666 - 85、パリのフランス科学アカデミーで活動
1675、ヒゲゼンマイを設計し、懐中時計の特許を取得
1678、光の波動理論『ホイヘンスの原理』を発表。1821、フレネルが『ホイヘンス・フレネルの原理』にバージョンアップ
1703、『ホイヘンス式接眼鏡』を発明

【ネットワーク(生年順)】
コンスタンティン・ホイヘンス Constantijn Huygens 1596 - 1687 クリスティアーンの父親。オランダ総督の秘書。外交官、作曲家。ガリレオ、メルセンヌ、デカルトの友達。

ピエール・ド・フェルマー Pierre de Fermat 1607 - 1665 フランスの数学者。1656、ホイヘンス(27)は物理に数学を取り入れたくてフェルマー(49)に連絡。しかし、フェルマーの関心は純粋数学だったのですれ違う

フランス・ヴァン・シューテン Frans van Schooten 1615 - 1660 オランダの数学者。17歳のときデカルト(36)に会い、論文を貰って読むも手に負えず。フランスに留学して数学修行。31歳で帰国、父の後を継いでライデン大学の数学教授になり、父が指導していたホイヘンス(17)の指導も引き継ぐ。34歳でデカルトの論文の解説本を書き、結果、解析幾何学の普及が進んだ。

アイザック・ニュートン Isaac Newton 1643 - 1727 イングランドの数学者、物理学者。1689、光を波と考えるホイヘンス(60)はイギリスで光を粒子と考えるニュートン(46)と面談

ゴットフリート・ライプニッツ Gottfried Wilhelm Leibniz 1646 - 1716 ドイツの数学者。計算機の開発に取り組んでいたライプニッツ(27)はホイヘンス(44)に会い、解析幾何学を教えてもらう。

オーギュスタン・ジャン・フレネル Augustin Jean Fresnel 1788 - 1827 フランスの物理学者。フレネルレンズの発明者。1821、『ホイヘンス・フレネルの原理』を発見

【似顔絵サロン】



























〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Christiaan_Huygens

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