フックの法則~ロバート・フック:アルケーを知りたい(534)

 今回の話題は(A)物理学。

ばねの復元力を表すフックの法則。高校物理では力学の最初に出てくる話題(私は今もばねは難しいと思っている)。

▼フックはホイヘンスと同時代人。ホイヘンスのいたオランダ、フランスもごちゃついて落ち着かない時代だった。イギリスも内戦をやったりして何とも知れない。それでも王立協会が設立され、世界で初めての学術誌の刊行が始まるなど創造的な動きもあった。

▼フックは王立協会の実験デモ担当、事務局長としてイギリスとヨーロッパの最新の科学的知見を受け付ける立場にあった。すごく有利なポジションにいたわけだ。

ロバート・フック Robert Hooke 1635 - 1703 イギリス 自然哲学者
【時代環境】
1600 - 1874、イギリス東インド会社
1642 - 49、国王派vs議会派の戦い、清教徒革命
1660、王立協会創設
1666、ロンドン大火

【教育】オックスフォード大学クライスト・チャーチで学士。1691、グレシャム大学で医学博士
【職業】1662、王立協会の実験監督、1665から王立協会事務局長。1664、グレシャム大学で幾何学教授
【業績】1660、弾性についての『フックの法則』を発見
1670、王立協会でぜんまいばねのデモを行う
1665、『顕微鏡図譜』を出版。cell(細胞)という用語を使う

【ネットワーク】
トーマス・ウィリス Thomas Willis 1621 - 1675 イングランドの医師。王立協会の創設メンバー。1656-58、オックスフォード大学の化学助手として雇ったフック(21-23)を大いに評価した。

ロバート・ボイル Robert Boyle 1627 - 1691 アイルランドの化学者。1657、オックスフォード大学でゲーリケの真空ポンプを製作(1659完成)するときフックが助手を務めた(1662まで)。1660、ボイルの法則を発表。

ピーター・レリー Peter Lely 1618 - 1680 オランダ出身のイングランド宮廷画家。フックは13歳で弟子入り、短期間、画家修業

クリストファー・レン Christopher Wren 1632 - 1723 イギリス王室の建築家。1666、ロンドン大火後の復興に尽力。グリニッジ天文台、後の大英博物館になるモンタギュー・ハウス他を設計。フックの友達。フック(31)はセント・ポール大聖堂の建築やロンドンの測量で協力

クリスティアーン・ホイヘンス Christiaan Huygens 1629 - 1695 オランダの物理学者。1675、ヒゲゼンマイを設計し、懐中時計の特許を取得。フックがその15年前に懐中時計を発明していた。先取権争いになる。

アントニ・ファン・レーウェンフック Antonie van Leeuwenhoek 1632 - 1723 オランダの織物商、顕微鏡製作者。微生物学の父。フックはレーウェンフックの観察記録をラテン語訳して出版し、王立協会会員にした

アイザック・ニュートン Isaac Newton 1643 - 1727 イングランドの数学者・物理学者。フックはニュートンと1672に光理論で争い、1686に万有引力の先取権で争った

ヘンリー・オルデンバーグ Henry Oldenburg 1618 - 1677 ドイツ生まれ。1662、王立協会の初代事務局長。フックはオルデンバーグと時計の機構の発明者がホイヘンスか自分かで論争

ジョン・オーブリー John Aubrey 1626 - 1697 イングランドの作家。フックの伝記を書いた友達。

【似顔絵サロン】




















〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Hooke

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