起磁力単位ギルバート Gb のもと、ウィリアム・ギルバート:アルケーを知りたい(520)

今回の話題は(A)物理学。

▼今回は、起磁力単位ギルバート Gb の基になったウィリアム・ギルバート。1500年代後半、イギリスの医師で物理学者。
この人がすごいのは、仮説を確かめるため、オリジナルで実験装置や計測装置を作ったところだ。それで電気計測機器の祖とか、電気工学や電気・磁気の父と称される。
▼医師をしながら20年以上にわたって磁気の研究を続けた。コペルニクスの地動説の支持者。アリストテレス哲学とスコラ学には反対の立場。

時代環境】エリザベス1世の支援でドレーク船長が1580年、世界一周を達成。その後、ドレーク船長指揮のもとイギリス艦隊はスペイン無敵艦隊と勝負をつける。ウィリアム・アダムズ日本に来る前、ドレーク船長指揮の下、補給船の船長として無敵艦隊との海戦(1588年、アルマダの海戦)に参戦している。この時期の日本の状況は次。1600年の関ヶ原の戦いで豊臣側が負け、徳川側が勝利。この年にリーフデ号で日本に漂着したウィリアム・アダムスは徳川家康に会った。家康は事前に受けていたイエズス会士の情報から当初リーフデ号を海賊船と認識していた。しかし、ウィリアム・アダムズは家康にオランダ~イングランドのプロテスタント勢とポルトガル~スペインのカトリック勢が対立している現状を説明。これにより家康はヨーロッパ情勢の認識を修正した。

ウィリアム・ギルバート William Gilbert 1544 - 1603
【教育】ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジ卒業、医学博士
【職業】医師。王立内科大学のフェロー、学長。エリザベス1世、ジェームズ1世の侍医
【業績】静電気の測定のため検電器versoriumを発明、電気計測機器の祖。
『De Magnete:磁石及び磁性体ならびに大磁石としての地球の生理』(1600)地球の中心が鉄。磁石は分割してもN極とS極がある、と指摘。
【ネットワーク】
コペルニクス 1473 - 1543 ポーランドの天文学者。地動説
ティコ・ブラーエ 1546 - 1601 デンマークの天文学者。
フランシス・ベーコン 1561 - 1626 イギリスの哲学者。ギルバートの地球の日周運動説に批判的
ガリレオ・ガリレイ 1564 - 1642 イタリアの物理学者。地球は自転すると考えた。ギルバートはガリレオの20年前から地球は自転すると見ていた。
ヨハネス・ケプラー 1571 - 1630 ドイツの天文学者。惑星の公転や自転は磁気的な引力に起因すると考えた。ギルバートは全てを磁気力で説明するのは無理と考えた。
トーマス・ ブラウン 1605 - 1682 イギリスの博物学者、医学博士。ギルバートは1600年に静電気を表現するためラテン語 electricusを使ったブラウンは、これを継承して1646 年に「電気」を表現するためelectricity を初めて使用した
ハンス・クリスティアン・エルステッド 1777 - 1851 デンマークの物理学者。ギルバートが電流と磁気は別物と考えていたのに対し、電流が磁場を作ることを発見した。電磁気学の始祖
ジェームズ・マクスウェル 1831 - 1879 スコットランドの理論物理学者。古典電磁気学の父
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〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Gilbert_(physician)

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