1766、水素の発見~キャヴェンディッシュ(英):アルケーを知りたい(558)

今回の話題は化学。

▼今回は、水素。元素記号H、原子番号1、hydrogen。

▼水素が水素になるまでの道のり:
1671、ボイルが鉄と希硝酸を反応させて可燃性の気体を発生させた。

1766、キャヴェンディッシュが鉄と塩酸を反応させて「可燃性空気」の単離に成功。王立協会で論文発表。キャヴェンディッシュはフロギストン説を支持していたので、気体は金属に由来すると考えた。

1783、ラヴォアジエがキャヴェンディッシュの実験を追試。燃えたあと(爆発したあと)水になる可燃性の気体を「hydrogène(イドロジェーヌ)」と命名。「水を生むもの」の意味。ギリシャ語の「ヒュードル=水」と「ゲネン=生む」を合体させた造語。ラヴォアジェはフロギストン説を打破した人。

1784、プリーストリー(→453)が水素と空気を電気火花で爆発させた後、水が発生すると報告。キャヴェンディッシュが追試で、混合気体の体積が1/5になると発表

▼江戸時代の蘭学者、宇田川榕庵(うだがわ・ようあん →553)が『舎密開宗』で水素と訳した。

ヘンリー・キャヴェンディッシュ Henry Cavendish 1731 - 1810
イギリスの化学者、物理学者。
「科学者の中で一番の金持ちであり、金持ちの中で最も偉大な科学者」(ビオ →120)
【人柄】恥ずかしがり屋、人間嫌い。
【教育】ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ中退
【職業】貴族
【業績】1760(29)王立協会会員
1766(35)水素の発見
1781(40)水の合成
1798(57)万有引力定数を測定

【同時代人】
一つ年上に水力紡績機を発明したアークライト、音楽家ハイドン
一つ年下に陶器ウエッジウッドの創業者、ジョサイア・ウェッジウッド
同じ年に、色消しレンズで有名なジョン・ドロンド(→556)の息子ピーター・ドロンド
進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンの祖父、エラズマス・ダーウィン

【ネットワーク】
第7代デヴォンシャー公ウィリアム・キャヴェンディッシュ William Cavendish, 7th Duke of Devonshire 1808年4月27日 – 1891年12月21日 英国の貴族。ケンブリッジ大学総長 ▼ヘンリーの親戚。キャヴェンディッシュ研究所を設立。マクスウェルにヘンリーの遺稿の整理を委託

ジェームズ・マクスウェル James Clerk Maxwell 1831 - 1879 スコットランドの理論物理学者。▼1874(43)キャヴェンディッシュ研究所の初代所長。キャヴェンディッシュの遺稿を元に実験。1879(48)キャヴェンディッシュ論文集を公開

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〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Cavendish

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