1828、トリウム~ベルセリウス(瑞):アルケーを知りたい(624)

今回は化学。

トリウム。元素記号は Th、原子番号90、thorium。銀白色の金属。
名前の由来は、北欧神話の雷神トール。用途は核燃料、耐熱セラミックス、航空機エンジンほか。

▼経緯。
1828年、ノルウェーの鉱物学者モートン・エスマークがトール石(ソライト)を発見し、標本を鉱物学者の父イェンス・エスマークに送る。ハンスは標本をベルセリウスに送る。
ベルセリウスはトール石から新元素を単離し、トリウムと命名
1898年、マリ・キュリーらがトリウムが放射能を持つことを発見。

▼ベルセリウスのここが面白い:人とのつながりで広がる見本のような人。例えば、1818(39才)に仕事のストレスで神経衰弱になったので気分転換のため大先輩の化学者ベルトレ(70)のパリの研究所に行く。このとき博士になったばかりのツァイゼ(29)と会って友達になる。トリウムの発見も同じ。エスマーク(子)が発見した鉱石がエスマーク(父)経由で送られてきて、分析すると新元素がありました!という話。

ベルセリウス Jöns Jacob Berzelius 1779年8月20日 - 1848年8月7日 
スウェーデンの化学者、医師。現代化学の創始者、スウェーデン化学の父。 
【人物】父親は牧師、教師。4才で死別。
【教育】1802(23) ウプサラ大学で医師免許取得。
【職業】1804(25) ストックホルムで医師開業。医業の傍ら化学の研究を進める。
 1807(28)カロリンスカ医学外科学院で教授。

【業績】
1803(24) セリウム発見(→588)
1813(34) 元素の名前をラテン語・ギリシャ語の頭文字で表す今に至る方法を提唱。
1817(38) セレン(→598)
1823(44) ケイ素の単離に成功(→614)
1828(49) トリウムの単離に成功。
1836(57) コプリ・メダル受賞。

【ネットワーク】
ベルトレ Claude Louis Berthollet 1748年12月9日 - 1822年11月6日 フランスの化学者・医師。▼ジョセフ・プルーストと定比例の法則の妥当性について論争中、1811年にベルセリウスが行った検証結果を知りプルーストの妥当性を受け入れる。

モートン・エスマーク Morten Thrane Esmark 1801年8月21日 - 1882年4月24日 ノルウェーの司祭、鉱物学者。イェンス・エスマークの息子。▼1828(27) ノルウェーのロヴォヤ島で新しい鉱石ソライトを発見、鉱物学者の父親に送る。

イェンス・エスマーク Jens Esmark 1763年1月31日 - 1839年1月26日 ノルウェーの鉱物学教授。▼1828(65) 息子から送られてきた標本をベルセリウスに転送。ベルセリウスがソライトから新元素トリウムを単離。

ツァイゼ William Christopher Zeise 1789年10月15日 - 1847年11月12日 デンマークの有機化学者。(→622)▼ベルトレ―のパリ研究所でベルセリウスと会い友達になる。

【似顔絵サロン】



















〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/J%C3%B6ns_Jacob_Berzelius

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