1855、ベッセマー製鋼法~ベッセマー(英):アルケーを知りたい(659)

今回は化学。

ベッセマー法:銑鉄から鋼を大量生産する製法。製造コストを従来の六分の一に引き下げた。鋼の普及が一気に進んだ。特許を取得した1855年からほぼ100年間、ベッセマー法が主流だった。

▼ベッセマーのここが面白い:鉄道レールや橋梁を作るとき安価な鋳鉄を使っていた時代。鋼鉄は高価すぎて工作機械で使われていた時代。そのタイミングでベッセマーが鋼鉄を安価に量産するシステムを発明した。製鉄プロセスを完成させる途中、ベッセマーは不純物を取り除く問題が数千回実験を繰り返しても自力で解決できなかった。それをムシェットという冶金学者の発明があっさりと解決。一気に普及が進み、ベッセマーは財を成す。一方、なぜか貢献が置き忘れられて貧乏暮らしに甘んじていたムシェット。1866年、ムシェットの娘(16才)がベッセマーと直談判。ベッセマーがムシェットに相応の年金を渡すことで話をつけた。良い形に収まった。

ベッセマー  Henry Bessemer 1813年1月19日 - 1898年3月15日 
イングランドの技術者 
【人物】父親は技術者・発明家・金属加工工場経営者。
【教育】学校を卒業して父親の工場で冶金を学ぶ。
【職業】発明家
【業績】真鍮の粉末を使った金色の塗料の製造方法で競合の40分の1のコストダウンに成功して財を成す。
1838-83(25-70) 鉄・鋼・ガラス・大砲の分野で129以上の特許を取得。
1855(42) 鋼の安価な製造法を発明
1857(44) 連続鋳造の先駆けとなる金属鋳造法を発明。

【ネットワーク】
ミニエー Claude-Etienne Minié  1804年2月13日 - 1879年12月14日 フランスの陸軍大尉。1846(42) ミニエー弾を発明。1849(45)  ミニエ・ライフルを発明。▼ミニエーとの会話がきっかけでベッセマーが製鋼について考え始めた。1855年1月、ベッセマーは大砲用の鋼を大量生産する製法の研究を開始、10月ベッセマー法の最初の特許を申請。

ナスミス James Hall Nasmyth 1808年8月19日 - 1890年5月7日 スコットランドのエンジニア・発明家。▼ベッセマー法に似た方法を考えていた。ベッセマー法の話を知り自分の方法を諦めた。ベッセマーから特許の取り分を提案されたけれど、引退するからといって辞退。

ムシェット Robert Forester Mushet 1811年4月8日 - 1891年1月29日 イギリスの冶金学者・事業家。▼ベッセマーが抱えていた製鋼プロセスの問題を見事に解決してベッセマー法を完成させた。

【似顔絵サロン】

















〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Bessemer

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