1878、ホルミウム、ツリウム~クレーヴェ(瑞):アルケーを知りたい(681)

今回は化学。

ホルミウム:holmium。原子番号67。元素記号 Ho。希土類元素。比重8.80、融点1461 °C、沸点2600 °C。名前はクレーヴェがストックホルムのラテン名 holmia から命名。用途は、YAGレーザの添加物。

ツリウム:thulium。原子番号69。元素記号 Tm。加工が容易な金属。名前はクレーヴェがスカンジナビアの古代ギリシア語のThuleから命名。用途はX線装置・固体レーザの放射線源。

▼クレーヴェのここが面白い:豊かな人脈ネットワークの持ち主であること。スウェーデンの鉱物分析の伝統にいて(例えばモサンデルヴェルスバッハ)、鉱物学を通してヨーロッパの人と交流があり(例えばヴュルツ)、子孫からノーベル賞受賞者が2人出ている。

クレーヴェ Per Teodor Cleve 1840年2月10日 - 1905年6月18日
 スウェーデンの化学者
【人物】父親は商人。
【教育】1860年代、イギリス、フランス、イタリア、スイスの研究所を訪問。パリではヴュルツの研究室で多くの友人を作る。
1868(28) ウプサラ大学で博士。
【職業】1860(20)ウプサラ大学で鉱物学の助教授。
1868(28) 化学の助教授。
1874(34) ウプサラ大学で一般化学・農業化学の教授。

【業績】1879(39) ホルミウムとツリウムを発見
1894(54) デービーメダル受賞。

【ネットワーク】
モサンデル Carl Gustaf Mosander 1797年9月10日 - 1858年10月15日 スウェーデンの化学者。ベルセリウスの弟子。1839-43(42-46) ランタナ(ランタン) lanthana とジジミア didymia を発見。▼1874年、クレーヴェ(34)がジジミアは2つの希土類元素の混合物であることを発見。

ヴュルツ Charles Adolphe Wurtz 1817年11月26日 - 1884年5月10日 フランスの化学者。1875(58) パリ大学で初の有機化学教授。▼1860年代、フランスの化学教育の振興に力を入れていたヴュルツのもとにクレーヴェが滞在し、多くの出会いが生まれた。

ヴェルスバッハ Carl Auer von Welsbach 1858年9月1日 - 1929年8月4日 オーストリアの化学者。▼1885(27) クレーヴェが2つの希土類元素の混合物と指摘したジジミアから、ネオジムとプラセオジムを分離。

ノルデンショルド Nils Adolf Erik Nordenskiold 1832年11月18日 - 1901年8月12日 スウェーデン系フィンランド人の鉱山学者・探検家。1878-79(46-47) ストックホルムから日本に至る北極海の北東航路を開拓。▼ノルデンショルドは新発見の鉱物にクレーヴェの名前に因んでクレベイト cleveite と命名。

ハンス・フォン・オイラー Hans Karl August Simon von Euler-Chelpin 1873年2月15日 - 1964年11月6日 スウェーデンの化学者。1929(56) ノーベル化学賞受賞(糖類の発酵研究)。▼クレーヴェの娘婿。

ウルフ・フォン・オイラー Ulf Svante von Euler 1905年2月7日 - 1983年3月9日 スウェーデンの生理学者・薬理学者。1970(65) ノーベル生理学・医学賞受賞(神経末梢部における伝達物質の発見と、その貯蔵、解離、不活化の機構に関する研究)。▼クレーヴェの孫、ハンスの息子。

【似顔絵サロン】

































〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Per_Teodor_Cleve

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