1885、水素スペクトル系列~バルマー(スイス):アルケーを知りたい(690)

今回は化学。

水素スペクトル系列:水素原子から出る光の線スペクトルの波長の規則性を式にしたもの。高校物理の範疇。

▼バルマーのここが面白い:イギリスの物理学者オットー・フリッシュによると「バルマーの自慢は、どんな四つの数が与えられても、その数を結び付ける数式を見つけだすこと」で「友達が水素原子の特性を示す四本の線スペクトルの波長をバルマーに与えると、驚いたことに、バルマーはその波長の測定値と気味が悪いほどの精度で一致するたいへん簡単な式を導いた」という。これはフリッシュの「何と少ししか覚えていないことだろう」に出てくるエピソード。

バルマー Johann Jakob Balmer 1825年5月1日-1898年3月12日
 スイスの数学者 
【人物】父親は裁判長。
【教育】1849(24) バーゼル大学で博士。
【職業】バーゼルの女子学校で教師。
【業績】1885(60) 水素原子の線スペクトルを記述する実験式を発表。水素原子のバルマー系列。可視光線領域

【ネットワーク】
オングストローム Anders Jonas Angstrom 1814年8月13日-1874年6月21日 スウェーデンの天文学者・物理学者。分光学のパイオニア。水素のスペクトル分析の元祖。1852(38) 吸収の法則→キルヒホッフの熱放射の法則。▼バルマーはオングストロームが残した水素原子の線スペクトルの波長データから規則性を発見した。

ハーゲンバッハ=ビショフ Eduard Hagenbach-Bischoff 1833年2月20日 - 1910年12月23日 スイスの物理学者。▼ハーゲンバッハ=ビショフが友達のバルマーに水素原子の波長の計算を提案した。

リュードベリ Johannes Rydberg 1854年11月8日 - 1919年12月28日 スウェーデンの物理学者。1888(34) 分光学に関するリュードベリの式。▼バルマーの公式はリュードベリの公式の特別な場合。

パッシェン Louis Carl Heinrich Friedrich Paschen 1865年1月22日 - 1947年2月25日 ドイツの物理学者。▼1908(43) パッシェン系列を発見。赤外線領域。

ライマン Theodore Lyman 1874年11月23日 - 1954年10月11日 アメリカの物理学者。▼1906(32) ライマン系列を発見。紫外線領域。

ニールス・ボーア Niels Henrik David Bohr 1885年10月7日 - 1962年11月18日 デンマークの理論物理学者。1922(37) ノーベル物理学賞受賞(原子構造とその放射に関する研究) 。▼ニールスはバルマーの式を土台にして水素原子に関する論文を完成した。ラザフォードの原子模型の問題をマックス・プランクの量子仮説で解決し、ボーアの原子模型を作った。アメリカ原子力委員会が採用している原子模型は古いけれど分かりやすく間違っているわけではないラザフォードのもの。

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〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Johann_Jakob_Balmer

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