1896、ゼーマン効果~ゼーマン(蘭):アルケーを知りたい(704)
今回は物理学。
▼ゼーマンのここが面白い:新しい知識の創造と増幅の典型事例なのが面白い。スペクトル線に強い磁場をかけるとそれまで一本に見えていたスペクトル線が分割する、というのがゼーマンによる新しい知識の「創造」。この新しい知識をテコにして師匠のローレンツが原子構造の解明につないだ、これを知識の「増幅」と見ましょう。ゼーマンが大学でオンネスとローレンツという師匠に出会う運の良さも面白い。ところでゼーマンの博士指導教員オンネスは前々回のリンデ(702)の冷凍装置を使って低温研究を行った。この例のように知識の創造と増幅も人のつながりあってこそ、というのが面白い。
▼ゼーマン Pieter Zeeman 1865年5月25日 - 1943年10月9日
オランダの物理学者
【人物】父親は牧師。1883(18) オランダに出現したオーロラを観察、スケッチと解説を『ネイチャー』に送り、掲載される。
【教育】1893(28) ライデン大学で博士。指導教員はオンネス。
【活動/業績】
1890-93(25-28) ライデン大学でローレンツの助手。
1893-95(28-30) ストラスブール大学でコールラウシュ研究室でポスドク。
1895(30) ライデン大学で数学と物理学の私講師。
1896(31) 磁場をかけるとスペクトル線が複数生じる現象を発見。オンネスを通じてこの話を知ったローレンツがゼーマンを呼び出し、電磁放射の視点から解説。原子の構造の解明が進む。
1897(32) アムステルダム大学で講師。
1900(35) アムステルダム大学で物理学教授。
1902(37) ローレンツと共にノーベル物理学賞受賞(放射に対する磁場の影響の研究)。
1908(43) アムステルダム大学物理学研究所でファン・デル・ワ―ルスの後任所長。
【ネットワーク】
ファン・デル・ワールス Johannes Diderik van der Waals 1837年11月23日 - 1923年3月8日 オランダの物理学者。アムステルダム大学物理学教授。1910(73) ノーベル物理学賞受賞(気体および液体の状態方程式に関する研究)。▼アムステルダム大学でゼーマンがワ―ルスの物理学研究所で後任所長。
コールラウシュ Friedrich Wilhelm Georg Kohlrausch 1840年10月14日 - 1910年1月17日 ドイツの物理学者。ストラスブール大学で物理学教授。▼ゼーマンはポスドク時代の2年間をコールラウシュ研究室で過ごした。
ローレンツ Hendrik Antoon Lorentz 1853年7月18日 - 1928年2月4日 オランダの物理学者。ライデン大学の理論物理学教授。▼ゼーマン効果を理論的に検証した。1902(49) ノーベル物理学賞受賞(放射現象に対する磁性の影響の研究)。
オンネス Heike Kamerlingh Onnes 1853年9月21日-1926年2月21日 オランダの物理学者。ライデン大学で実験物理学教授。1913(60) ノーベル物理学賞受賞(低温における物性の研究、特にその成果である液体ヘリウムの生成)。▼ゼーマンの師匠。
ラーモア Joseph Larmor 1857年7月11日 - 1942年5月19日 アイルランドの物理学者・数学者。1903(46) ケンブリッジ大学でルーカス教授。▼ゼーマン効果を理論的に検証した。
【似顔絵サロン】
〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Pieter_Zeeman
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