1908、液体ヘリウム~オネス(蘭):アルケーを知りたい(718)

今回は物理学。

液体ヘリウム:-269 ℃の極低温の液体。用途は、超伝導電磁石の冷却や物理学実験用。1908年、オネスが初めて液化に成功。

▼オネスのここが面白い:まず、超低温での物性を調べようという関心の方向性が面白い。次に、熱力学のクラウジウス→状態方程式のファン・デル・ワールス→今回のオネス→後任のケーソンという低温物理学の系譜に入っていること。そして、超伝導現象を発見し、新しい学問分野の創始者になったこと。関心から始まり、伝統の流れに入り、新しい世界を創造した。

オネス Heike Kamerlingh Onnes 1853年9月21日-1926年2月21日 
オランダの物理学者。低温物理学のパイオニア。
【人物】父親はレンガ工場のオーナー。
【教育】1870(17) フローニンゲン大学に入学。
1871-73(18-20) ハイデルベルク大学でブンゼンキルヒホフに師事。
1878(25) フローニンゲン大学で修士。
1879(26) フローニンゲン大学で博士。
【活動/業績】1878-82(25-29) デルフト工科大学で物理学者ボッシャの助手。
1881-82(28-29)  デルフト工科大学で講師。
1882-1923(29-70) ライデン大学で実験物理学教授。
1904(51) ライデン大学で低温物理学研究所を設立。リンデの冷却機を使い酸素、窒素、空気の液化を研究。
1908(55) ヘリウムの液化に成功。当時の世界一の低温を実現
1911(58) 超低温での水銀、スズ、鉛の電気的性質を研究し、電気抵抗がゼロになる超伝導現象を発見。
1913(70) ノーベル物理学賞受賞(低温における物性の研究、特にその成果である液体ヘリウムの生成)。

【ネットワーク】
ボッシャ Johannes Bosscha Jr. 1831年11月18日 - 1911年4月15日 オランダの物理学者。▼1878年から4年間、デルフト工科大学でオネスが助手を務めた。

ファン・デル・ワールス Johannes Diderik van der Waals 1837年11月23日 - 1923年3月8日 オランダの物理学者。1910(73) ノーベル物理学賞受賞(気体および液体の状態方程式に関する研究)。▼ファン・デル・ワールスは、オネスが低温物理に関心を持つきっかけとなった人物。

リンデ Carl Paul Gottfried von Linde 1842年6月11日 - 1934年11月16日 ドイツの工学者・企業家。冷凍機とガス分離技術の開発者。1895(53) 空気の液化に成功。▼オネスの低温物理学実験はリンデが開発した当時最先端の冷凍機があってこそ。

ゼーマン Pieter Zeeman 1865年5月25日 - 1943年10月9日 オランダの物理学者。1902(37) ノーベル物理学賞受賞(放射に対する磁場の影響の研究) ▼オネスの弟子。1908(43) アムステルダム大学の物理学研究所でファン・デル・ワールスの後任所長になる。

ケーソン Willem Hendrik Keesom 1876年6月21日 - 1956年3月24日 オランダの物理学者。1926(50) 固体ヘリウムの作成に成功。▼ファン・デル・ワールスが博士指導教員。ライデン大学低温物理学研究所(オネスの没後、カメルリング・オネス研究所に改名)でオネスの後任所長。

【似顔絵サロン】


























〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Heike_Kamerlingh_Onnes

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