1923、物質波~ド・ブロイ(仏):アルケーを知りたい(737)
今回は物理学。
▼ド・ブロイのここが面白い:高校の時、成績優秀な親友から手紙でド・ブロイ波について述べよと言われて参ったことがある。歴史的に見ると、ド・ブロイ波の理論によって、物質は粒子性と波動性を併せ持つという見解が確立したということらしい。ところで、粒子という言葉から、どうしても粒をイメージしてしまう。粒のイメージを捨てないとアルケーを考えるのに行き詰る。そこでアルケーは、粒的なもの、波的なもの、正体不明なもの、と考える。このようにド・ブロイはあれこれ考えさせてくれるのが面白い。95才という長寿も目出度い。
▼経緯。
1905年、アインシュタインが電磁波の粒子性を提唱。
1923年、コンプトンがコンプトン効果で電磁波の粒子性を示す。
1924年、ド・ブロイが粒子の波動性を提唱、波動と粒子の二重性の仮説を示す。
1926年、シュレディンガーが波動方程式を提唱。
1927年、イギリスのジョージ・パジェット・トムソンが電子回折の観察でド・ブロイ波の理論を検証。アメリカのデイヴィソンとジャマーも同様に電子回折の観察でド・ブロイ波の理論を検証。
▼ルイ・ド・ブロイ Louis Victor de Broglie 1892年8月15日 - 1987年3月19日
フランスの理論物理学者
【人物】父親は名門貴族の当主。
【教育】1910(18) パリ大学で歴史学学士。軍人・物理学者の兄モーリスの影響で物理学に転換。
1913(21) パリ大学で科学学士。
1914-18(22-26) WWIで中断。仏軍の無線通信技術者としてエッフェル塔配属。
1918-(26-) 兄と自宅の実験室で研究。
1924(32) パリ大学で物理学博士。D論でド・ブロイ波を提唱。
【活動/業績】
1926-28(34-36) パリ大学で教授。
1928-62(36-70) アンリ・ポアンカレ研究所で理論物理学教授。
1929(37) ノーベル物理学賞受賞(電子の波動性の発見)。
【ネットワーク】
モーリス・ド・ブロイ Louis-César-Victor-Maurice de Broglie 1875年4月27日 - 1960年7月14日 フランスの物理学者。▼ルイの兄。
アインシュタイン Albert Einstein 1879年3月14日 - 1955年4月18日 ドイツの理論物理学者。1921(42) ノーベル物理学賞受賞(光電効果の法則の発見等)。▼ド・ブロイのD論にコメントを求められ「この青年は博士号よりノーベル賞を受けるに値する」と述べた。
デイヴィソン Clinton Joseph Davisson 1881年10月22日 - 1958年2月1日 アメリカの物理学者。▼1927年、レスター・ジャマーと共同で電子回折を観察しド・ブロイ波の理論を検証。1937(56) ノーベル物理学賞受賞(結晶による電子線回折現象の発見)。
シュレーディンガー Erwin Rudolf Josef Alexander Schrödinger 1887年8月12日 - 1961年1月4日 オーストリアの理論物理学者。1933(46) ノーベル物理学賞受賞(新形式の原子理論の発見)。▼1926(39) 波動方程式を提唱、量子力学の礎とした。
ジョージ・パジェット・トムソン George Paget Thomson 1892年5月3日 - 1975年9月10日 イギリスの物理学者。▼1927年、電子の波の性質を示した。1937(45) ノーベル物理学賞受賞(結晶による電子線回折現象の発見) 。
コンプトン Arthur Holly Compton 1892年9月10日 - 1962年3月15日 アメリカの物理学者。1927(35) ノーベル物理学賞受賞(コンプトン効果の発見)。▼1923(31) コンプトン効果を発見。
ガーマー Lester Halbert Germer 1896年10月10日 - 1971年10月3日 アメリカの物理学者。デイヴィソンの弟子。▼1923-27年、デイヴィソン=ガーマーの実験で電子の波の性質を示した。
菊池 正士 きくち せいし 1902年8月25日 - 1974年11月12日 日本の物理学者。▼1928(26) 雲母の薄膜で電子線の干渉を確認。ド・ブロイ波の理論を検証した。
【似顔絵サロン】
〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Louis_de_Broglie
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