1968、JASONのメンバー歴51年~ムンク:アルケーを知りたい(810)

今回は物理学。

機密性の高い科学技術の問題について米国政府に助言する科学者グループ「JASON」。今回は、そのメンバーだったムンク。ムンクがメンバーに加わったのは、JASON設立の8年後から。

▼ムンクのここが面白い:JASONのメンバーとして51歳から亡くなる102歳まで、51年間在籍したこと。この長さが面白い。
研究にも特徴がある。師匠と共に海の波の研究を行い、波の高さと周期・風の速度と持続時間・風が吹く距離から経験則を発見。この経験則はWWIIのノルマンディ上陸作戦に適用された。当日は気象条件が悪かったけれど、水難事故が起きることなく多くの命が救われたという。判断の時に役立つ経験則を提供できたのが素晴らしい。一流の研究者が長期間JASONのメンバーだった、ここからも、JASONの性格の一端が伺える。

ウォルター・ムンク Walter Heinrich Munk 1917年10月19日 - 2019年2月8日 
アメリカの物理海洋学者
【人物】ウィーン生まれ。ユダヤ人。
【教育/活動】
1932(15) スキーに熱中して、学校の成績が悪化。両親が教育のためニューヨークの男子予備学校に転校させる。
1933-37(16-20) 家族が経営する銀行で働きながら、コロンビア大学で学ぶ。
1937(20) 銀行の仕事が肌に合わないので辞めてカリフォルニア工科大学 Caltech に入学。 
1938(21) ナチス・ドイツがオーストリアを併合。
1939(22) Caltechで応用物理学の学士。アメリカ市民になる。
1940(23) Caltechで地球物理学の修士。スヴェルドラップの博士学生になる。米陸軍に入隊。野砲兵とスキー部隊で勤務。
1941-47(24) 米国海軍無線音響研究所のスヴェルドラップの下で対潜水艦戦と水陸両用戦の研究。
1943(26) 海人や上陸用舟艇の危険度を測るため面波の高さを予測する方法を研究。この方法がノルマンディー上陸作戦に適用される。
1947(30) カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士。
1947-54(30-37) カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所で准教授。
1954(37) 同研究所で教授。
1960(43) JASON設立。
1968-2019(51-102) JASONのメンバー
1979(62) カール・ウンシュと共同で海洋中の音波の伝播時間を測定して、音波の伝わった海洋の内部の状態を調べる「技術海洋音響トモグラフィ」技術を提唱。
1985-2019(68-102) 海軍長官/海軍作戦海洋部長。
1999(82) 京都賞受賞。

【ネットワーク】
ハラルド・スヴェルドラップ Harald Ulrik Sverdrup 1888年11月15日 - 1957年8月21日 ノルウェーの海洋学者・気象学者。▼WWIIの間、カルフォルニア大学で戦時研究に従事、水中音波、救命いかだ、風浪とうねりの研究などを指導、上陸作戦で成果を挙げた。ムンクの博士指導教員。

カール・ウンシュ Carl Isaac Wunsch 1941年5月5日 -  アメリカの物理海洋学者。▼1979(38)、ムンク(62)と共同で海洋中の音波の伝播時間を測定して、音波の伝わった海洋の内部の状態を調べる「技術海洋音響トモグラフィ」技術を提唱。

【似顔絵サロン】




























〔参考〕
『理科年表2022』
https://en.wikipedia.org/wiki/Walter_Munk

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