契 沖~定型詩でアルケーを知りたい(871)

今回は和歌。

空の色は水よりすみて天の川 ほたるながるる宵ぞ涼しき
感想 今の季節にぴったりの清涼感あふれる歌。

契 沖 けい ちゅう 僧・国学者
【プロフィール】
1640(寛永17)年、摂津国(兵庫県尼崎市)生まれ。父は武士、浪人。
1651(11) 出家。妙法寺で学ぶ。
 高野山で阿闍梨
1663(23) 曼陀羅院で住職。下河辺長流(36)と交流。
 長谷寺で17日間の絶食念誦、室生寺で37日間の煉行。
 高野山に戻り菩薩戒を受ける。仏典・漢籍・日本の古典を学ぶ。梵字も研究。
1677(37) 延命寺で安流灌頂を受ける。
1679(39) 妙法寺で住職。万葉集・日本書紀・古事記・源氏物語など古典の研究に注力。
1690(50) 円珠庵を建立。徳川光圀下河辺長流が進めていた万葉集注釈書プロジェクトで長流が死去。長流の後を引受け『万葉代匠記』として完成。以後の万葉集研究に影響を与えた。
1701(元禄14)年1月25日、円珠庵で死去。61歳。
 夕けぶり麓の里にたなびきて 月ぞのぼれる山風のうへに
 花紅葉その錦にも立よらじ いないな我は世捨人なり
 和歌の浦に 至らぬ迄も きの國や 心なくさの やまと言の葉

【キーワードと感想】
阿闍梨 あじゃり。指導者、先生の意味。

梵字 ぼんじ。梵語(サンスクリット)を表記するための文字。

万葉代匠記 「代匠」は、本来これを為すべき者に代わって作るのであるから誤りがあるだろう、という意味。契沖の長流に対する敬意の現れ。

【ネットワーク】
下河辺 長流 しもこうべ ちょうりゅう 1627(寛永4)年 - 1686(貞享3)年7月22日 歌人・和学者。国学の先駆者。花も根にかへるを見てぞ木のもとに われも家路は思ひいでける ▼契沖は20代のとき一回り年長の長流と交流。1686年、長流の死去後、光圀からの依頼で長流が取り組んでいた万葉集の注解プロジェクトを引き受け、4年後に完成させた。

徳川 光圀 とくがわ みつくに 1628(寛永5)年7月11日 - 1701(元禄13)年1月14日 大名・常陸水戸藩の第2代藩主。水戸黄門。もろともに見しその人の形見ぞと思へば思へば月もなつかし ▼1678年、光圀&長流で始まった『万葉集』の注釈プロジェクト。長流亡き後、契沖が継続。1690年に完成。契沖は、長流の代わりに作ったことを『万葉代匠記』というタイトルで示した。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%91%E6%B2%96

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