平 兼盛~百人一首でアルケーを知りたい(922)

しのぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 40
感想 この和歌が歌合戦で「恋」をテーマに勝負する作品だったと知ると面白さが倍増する。対戦相手は壬生忠見。二人の作品が百人一首の40番、41番と並んでいるのは楽しいことである。

平 兼盛 たいら の かねもり 
? - 991(正暦元)年1月16日
 貴族・歌人。三十六歌仙の一人。光孝天皇の五代孫。
 主君:村上天皇→冷泉天皇→円融天皇

大学寮で紀伝道を学ぶ。寮試に合格して擬文章生。
946(?) 従五位下。
950(?) 平朝臣姓を与えられ越前権守。
960(?) 村上天皇が主催する天徳内裏歌合に参加。判者・藤原実頼。判者補佐・源高明。作品を読み上る講師・源博雅。先手、壬生忠見
壬生忠見の歌:こひすてふわがなはまだきたちにけり ひとしれずこそおもひそめしか
後手、平兼盛:しのぶれどいろに出でにけりわがこひは ものやおもふとひとのとふまで
勝敗の結果は、しのぶれど、の勝ち。

961(?) 山城介。
964(?) 大監物
977(?) 駿河守。

侘しさの歌。
荒れはてて月もとまらぬ我が宿に 秋の木の葉を風ぞふきける

老いの歌三首。
かぞふればわが身につもる年月を 送り迎ふとなにいそぐらむ
沢水に老いぬる影を見るたづの なくね雲井にきこゆらむやは
暮れてゆく秋の形見におくものは 我が元結の霜にぞありける

【キーワードと感想】
紀伝道 きでんどう。大学寮の学科の一つ。中国史。

監物 けんもつ。中務省の官。諸官庁の倉庫の鍵を管理・出納事務に携わった。

【ネットワーク】
藤原 実頼 ふじわら の さねよ 900昌泰3年 - 970年天禄元6月24日 平安時代前期~中期の公卿・歌人。藤原忠平の長男。師輔が弟。960(60) 天徳内裏歌合で勝敗を決める判者を務める。

源 高明 みなもと の たかあきら 914延喜14年 - 983天元5年1月2日 平安時代中期の公卿。醍醐天皇の第十皇子。960(46) 天徳内裏歌合で勝敗を決める判者補佐を務める。

源 博雅 みなもと の ひろまさ 918延喜18年7月17日 - 980天元3年11月8日 平安時代中期の公卿・雅楽家。醍醐天皇の孫。雅楽に優れる。酒豪。960(42) 天徳内裏歌合で講師(こうじ:歌を読み上げる役)を務め、平兼盛の歌(しのぶれどいろに出でにけりわがこひはものやおもふとひとのとふまで)を読み上げた。

壬生 忠見 みぶ の ただみ ? - ? 歌人。壬生忠岑の子。三十六歌仙の一人。百人一首41:恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%85%BC%E7%9B%9B
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kanemori.html

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