藤原敦頼の歌~アルケーを知りたい(993)

▼「前前回」は百人一首84番歌の藤原清輔の和歌を見た。「前回」は、清輔の父親で百人一首79番歌の藤原顕輔の和歌を見た。で、今回は藤原清輔の和歌仲間だった
藤原敦頼の和歌を見る。
▼敦頼は百人一首82番歌の詠み手。道因法師の名前で登場する。82歳で出家したけれども、良い歌を詠みたい一心で歌の神を祭った大坂の住吉大社に毎月参詣した。出家とは世俗の欲から逃れるものと思っていた。けど、敦頼の出家は良い歌を詠むため以外のことを捨てることだったようだ。

▼藤原 敦頼 / 道因法師 ふじわら の あつより 
1090寛治4年 - 1182寿永元年 92歳。
 平安時代後期の貴族・歌人・僧。
▼プロフィール
1153-(63-) 俊恵歌林苑で開く歌会のメンバー。
1160(70) 太皇太后宮大進清輔歌合に参加。
1170(80) 左衛門督実国歌合に参加。
1172(82) 藤原清輔が催した暮春白河尚歯会和歌に参加。
 広田社歌合を勧進。出家。道因と称する。
1175(85)と1179(89) 右大臣兼実歌合に参加。
1178(88) 別雷社歌合に参加。

▼敦頼の和歌と*勝手に解釈
月みればまづ都こそ恋しけれ 待つらむとおもふ人はなけれど
*月を見ると反射的に京の都が恋しくなる。自分を待っていそうな人は居ないんだけど。

氷の歌とて読る
月のすむ空には雲もなかりけり うつりし水は氷へだてて
*上を見ると月がかかった空には雲ひとつない。下を見ると氷の下で小川の水が流れている。

身につもる我がよの秋のふけぬれば 月みてしもぞ物はかなしき
*年齢を重ねて後期高齢者になった。こうなると月を見てももの悲しい気分になる。

山のはに雲のよこぎる宵のまは 出でても月ぞなほ待たれける
*山の上に雲が横切るようにかかっている宵。月が見えるまでもうちょっと待たねばならんようだ。

時雨の歌とてよめる
嵐ふく比良の高嶺のねわたしに あはれ時雨るる神な月かな
*比良の高嶺で嵐が吹き渡り、時雨も降っている。感興深い神無月だ。

述懐の歌とてよめる
いつとても身のうきことはかはらねど 昔は老をなげきやはせし
*いつも身の憂きことに変わりはない。けれども、以前は今ほど老いを嘆いたりしなかったような・・・。

思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり (百人一首82番歌)
*いくら思い悩んでも命はある。憂きに堪えられないのは涙だ。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E6%95%A6%E9%A0%BC
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/douin.html

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