恵慶法師の歌~アルケーを知りたい(1015)

恵慶法師は百人一首47番歌「八重むぐらしげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋はきにけり」の作者。
▼恵慶の歌には静けさと人なつかしさがある。内省的であり人とのつながりがある。そしてほんのりとした温かさが感じられる。

恵慶法師 えぎょう
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 平安時代中期の日本の僧、歌人。中古三十六歌仙の一人。
 播磨国分寺で講師。平兼盛清原元輔源重之大中臣能宣・紀時文などの公家歌人と交流。

962(?) 歌合で活動。
986(?) 出家した花山院の熊野行幸に供奉。

▼恵慶法師の和歌と*勝手に解釈 
正月二日、近江へまかるに、逢坂こえ侍るに鶯のなくを聞き侍りて
ふるさとへゆく人あらば言伝む 今日うぐひすの初音聞きつと
*故郷に行く人がいたら伝えよう。こちらでは、鶯が鳴くのを今日初めて聞きました、と。

山寺に人々のぼりて桜の散るをみて
桜ちる春の山べは憂かりけり 世をのがれにと来しかひもなく
*桜が散る春の山に来て憂いを感じた。せっかく俗世を逃れようと思って来たのにその甲斐もない。

河原院にて、荒れたる宿に秋来たるといふ心を人々よみ侍りけるに
八重むぐらしげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋はきにけり
*八重むぐらが繁る荒れた家は見るからに寂しい。人の姿がないところに秋が訪れている。

河原院にてよみ侍りける
すだきけむ昔の人もなき宿に ただ影するは秋の夜の月
*今は集う人たちもない家に、秋の世の月が影を落としている。

月の入るをみて
月の入る山のあなたの里人と 今宵ばかりは身をやなさまし
*月が沈んでいる遥かかなたの山に住んでいる人と、今夜ばかりは交代したい気がするよ。

月をみてよめる
天の原空さへさえやわたるらむ 氷と見ゆる冬の夜の月
*広い大空が冴えわっている、氷に見える冬の夜の月が氷のように見える。

つごもりの夜、年のゆきかふ心、人々よむに
ふる雪にかすみあひてやいたるらむ 年ゆきちがふ夜はの大空
*降る雪で霞んだまま新しい年になるのだろうか。ゆく年くる年が交差する夜の大空である。

貫之が集を借りて(紀時文に)返すとてよみ侍りける
一巻に千々の金をこめたれば 人こそなけれ声はのこれり
*貫之の本一巻に収録してある歌は千金に値します。作者はいなくても作品は伝わっています。
 ↓
時文の返歌:いにしへのちぢのこがねは限りあるを あふばかりなき君が玉章(たまづさ)
*昔詠まれた歌の数には限りがあります。「あふばかりなき」貴方様のお手紙であります。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%B5%E6%85%B6
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/egyou2.html

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