曽祢 好忠の歌~アルケーを知りたい(1016)

曽祢好忠は百人一首46番歌「由良のとをわたる舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな」の作者。
▼歌詠みの練習法となる百首歌や1年360首の始祖。たくさん数を作るのは効果的な上達法だ。

曽祢 好忠 そね の よしただ / 曾丹 そたん
930年 - 1000長保2年 70歳。
 平安時代中期の歌人。中古三十六歌仙の一人。

960(30) 家集「曾丹集」で「百首歌」を創始。
 この方法は後に作歌の練習や社寺への奉納に使われた。
 1年を360首で歌う「毎月集」を作る。
 源順大中臣能宣源重之らと交流。

▼曽祢好忠の和歌と*勝手に解釈
何もせで若きたのみにへしほどに 身はいたづらに老いにけらしも
*何もせず若さだけで時を経てきたら、体は空しく老いてしまった。

浅みどり野べの霞にうづもれて あるかなきかの身をいかにせむ
*野原の霞に包まれて、このあるかなきかのような自分をどうしようか。

歳暮の心をよめる
魂まつる年のをはりになりにけり 今日にやまたもあはむとすらむ
*霊を祭る年の終わりになった。今日も先祖の霊たちと会うのかしら。

うづみ火の下に憂き身となげきつつ はかなく消えむことをしぞ思ふ
*埋もれた熾火のようなわが身だと嘆きつつ、はかなく消えるのだろうと思う。

みやま木を朝な夕なにこりつめて さむさをこふる小野の炭焼
*山の木を朝な夕なに切り蓄えて、寒さが来るのを待ち焦がれる小野の炭焼き。

岩間には氷のくさびうちてけり 玉ゐし水もいまはもりこず
*岩の間に氷の楔を打ち込んでいるのだろう。玉のような水が今は漏れて来ない。

外山なる柴のたち枝に吹く風の 音聞く折ぞ冬はものうき
*山の木の枝を吹き抜ける風の音が聞こえると冬は物憂いなあ。

鳴けや鳴け蓬(よもぎ)が杣(そま)のきりぎりす 過ぎゆく秋はげにぞ悲しき
*茂った蓬の下で鳴いているキリギリスよ、大いに鳴け。過ぎていく秋はホントに悲しいからな。

人は来ず風に木の葉は散り果てて 夜な夜な虫は声弱るなり
*人は訪ねて来ないし木の葉は散り果て、夜な夜な虫の鳴き声も弱っている。

由良のとをわたる舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな
*由良の渡りの船頭が梶を失ったように、どこに行くか分からない恋であることよ。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%BD%E7%A6%B0%E5%A5%BD%E5%BF%A0
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yositada.html

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