清原元輔の歌~アルケーを知りたい(1020)

清原元輔は百人一首42番歌「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波こさじとは」の作者。
▼元輔について「世慣れた人物、物事を面白おかしく言って人を笑わせる老人」という評がある。自分が目指す爺さん像の先駆者だ。

清原 元輔 きよはら の もとすけ 
908(延喜8)年 - 990(永祚2)年6月 82歳。
 平安時代中期の貴族・歌人。三十六歌仙の一人。
 清原深養父の孫。清少納言の父親。源順能宣藤原実方らと交流。

951(43) 河内権少掾。源順・能宣らと共に勅撰和歌集プロジェクトのメンバー。
961(53) 少監物。969(61) 河内権守。986(76) 肥後守。

▼清原元輔の和歌と*勝手に解釈
誰がために明日はのこさむ山桜 こぼれてにほへ今日のかたみに
*山桜は、いったい誰のために花を残しているのだろう。今日の記念に咲きこぼれて匂へ。

屏風に
物も言はでながめてぞふる山吹の 花に心ぞうつろひぬらん
*ものも言わず山吹を眺めているうちに、花に心が移っていったようだ。

四月朔日よみ侍りける
春は惜し時鳥はた聞かまほし 思ひわづらふしづごころかな
*春が去るのは惜しい。かといってホトトギスはまだ聞きたい。思い煩う静かな心である。

天の川あふぎの風に霧はれて 空すみわたるかささぎの橋
*天の川の霧が扇の風で晴れて空が澄み渡ると天の川にかかるカササギの橋が見える。

題しらず
いろいろの花のひもとく夕暮に 千世まつ虫のこゑぞきこゆる
*いろいろは花が咲く夕暮れ時に千年生きるという目出度いマツムシの声が聞こえる。

津の国にまかりて、いさりするを見たまへて
いさり火のかげにもみぢて見ゆめれば 浪の中にや秋をすぐさん
*漁火で波が紅葉しているように見える。漁師たちは紅葉した波の中で過ごすのだね。

内裏御屏風に
月影の田上川にきよければ 網代にひをのよるもみえけり
*田上川に清く月影が浮かんでいる。網代に氷魚が近づくのが見える。

題しらず
冬をあさみまだき時雨とおもひしを たえざりけりな老の涙も
*冬はまだこれから。もう時雨かと思ったら、老いの涙なのだった。

心かはりて侍りける女に、人にかはりて
ちぎりきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波こさじとは
*涙で濡れた袖を絞りながら末の松山に波が寄せることがないのと同じくらい確かに約束しましたよね。

思ひいづや人めなかりし山里の 月と水との秋のおもかげ
*思い出しますね、人目のない山里で二人で眺めた月と水の秋の面影を。

朝まだききりふの岡にたつきじは 千代の日つぎのはじめなりけり
*朝になる前、きりふの岡に立つ雉は、これから千年続く日々の始まりを告げています。
朝忠の「万代のはじめと今日を祈りおきて 今行末は神ぞ知るらむ」を思い出す。

三輪の山しるしの杉はありながら 教へし人はなくて幾世ぞ
*三輪山にある目印の杉はまだある。それを教えてくれた人は亡くなって久しい。

肥後守にて、清原元輔(76歳)くだり侍りけるに、源満仲(74歳)、餞(せん)し侍りけるに、かはらけとりて
いかばかり思ふらんとか思ふらむ 老いてわかるる遠き別れを
*この別れを貴方様はどのように思っておられるのだろう、と思っています。老いた身になってこれから長い別れになるのです。

満仲の返し:君はよし行末とほしとまる身の まつほどいかがあらむとすらん
*貴方様は良いではありませんか、これからまだまだ先があります。私はこちらに留まって再会を待つ身、どうなることでしょう。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E5%8E%9F%E5%85%83%E8%BC%94
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/motosuke.html

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