壬生忠見の歌~アルケーを知りたい(1021)

壬生忠見は百人一首41番歌「恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人しれずこそ思ひそめしか」の作者。
▼忠見のエピソードが面白い。忠見は子供のころから和歌が上手いと評判。その評判が内裏に届き、呼び出しを受けた。しかし、馬にも乗れず正式な姿で参内できないので一度は遠慮する。
▼しかし内裏からは「竹馬に乗ってでも参内せよ」との仰せ。そこで「竹馬はふしかげにしていと弱し 今夕陰に乗りて参らむ」と詠んで返した。意味は、竹馬はふし鹿毛という毛並みでとても弱いから、夕影に乗って参内いたします。
▼子供のときにこんなおしゃれな返しができるとは、忠見はただものではない。

壬生忠見 みぶ の ただみ 
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 平安時代中期の歌人。壬生忠岑(百人一首30番歌の歌人)の息子。三十六歌仙の一人。

953(?) 内裏菊合に出詠。
954(?) 御厨子所定外膳部。
958(?) 摂津大目。
960(?) 天徳内裏歌合に参加。

▼壬生忠見の和歌と*勝手に解釈
題しらず
焼かずとも草はもえなむ春日野を ただ春の日にまかせたらなむ
*野焼きしなくても草燃える春日野だ。ただ春の陽光に任せればよい。

播磨のゆめさき川をわたりて
渡れどもぬるとはなしに我が見つる 夢前川を誰にかたらむ
*渡っても濡れることがないという播磨の夢前川を見た。この話を誰に語ろうか。

天暦御時歌合
恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人しれずこそ思ひそめしか
*恋をしているという評判が立ってしまった。人知れず思い初めただけなのに。

天暦御時、菊のえん侍りけるあしたに、たてまつりける
吹く風にちるものならば菊の花 雲ゐなりとも色は見てまし
*菊の花よ、吹く風に散れば、大空からもその色が見えることでしょう。

歌たてまつれとおほせられければ、忠岑がなどかきあつめてたてまつりける奥にかきつけける
ことのはの中をなくなくたづぬれば 昔の人にあひみつるかな
*数々の言葉を泣く泣く訪ねていると、昔の人に会えるようだ。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AC%E7%94%9F%E5%BF%A0%E8%A6%8B
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tadami.html

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