平兼盛の歌~アルケーを知りたい(1022)

平兼盛は百人一首40番歌「しのぶれど色にいでにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで」の作者。
▼この40番歌は兼盛が歌合せに出して勝った勝負歌。うまい。うますぎる。
▼うれしき、という言葉を使って詠んだ「世の中にうれしき物は思ふどち 花見てすぐす心なりけり(この世で嬉しいことは、気の合う人と花を眺めて過ごすときの気分です)」が好き。

▼平 兼盛 たいら の かねもり 
? - 991(正暦元)年1月16日
 貴族・歌人。三十六歌仙の一人。光孝天皇の五代孫。

大学寮で紀伝道を学ぶ。寮試に合格して擬文章生。
946(?) 従五位下。
950(?) 平朝臣姓を与えられ越前権守。
960(?) 天徳内裏歌合に参加。壬生忠見の「恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人しれずこそ思ひそめしか」と勝負。「しのぶれど色にいでにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで」で勝つ。
977(?) 駿河守。

▼平兼盛の和歌と*勝手に解釈
円融院御時、三尺御屏風に、花の木のもとに人々あつまりゐたる所
世の中にうれしき物は思ふどち 花見てすぐす心なりけり
*この世で嬉しいことと言えば、気の合ったもの同士で花を眺めて過ごすときの心持ちです。

屏風、旅人花見る所をよめる
花見ると家路におそくかへるかな 待ちどき過ぐと妹やいふらむ
*花を見ていると家に帰るのが遅くなる。なかなか帰ってこないと妻が文句を言うだろう。
この歌から山上憶良の「憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ それその母も 吾を待つらむそ」を思い出す。

月の明あかき夜、紅葉の散るを見てよめる
荒れはてて月もとまらぬ我が宿に 秋の木の葉を風ぞふきける
*荒れ果てて月も泊ってくれないような我が家。秋の風が木の葉を揺らしていく(屋根を秋の風が木の葉で葺いてくれる)。

暮の秋、重之が消息して侍りける返り事に
暮れてゆく秋の形見におくものは 我が元結の霜にぞありける
*暮れていく秋が形見として置いていくものは、私の元結の霜のような白髪である。

斎院の御屏風に、十二月つごもりの夜
かぞふればわが身につもる年月を 送り迎ふとなにいそぐらむ
*数えてみればわが身にも年が積み重なった。十二月だからといって行く年くる年、何を急ぐ必要があろう。

天暦御時歌合
忍ぶれど色にいでにけりわが恋は 物や思ふと人のとふまで
*人に知られないようにしているけど恋していることが分かるのだろうか。何か悩みでもあるの?と人が問うてくる。

みちのくにの白河関こえ侍りけるに
たよりあらばいかで都へつげやらむ けふ白河の関はこえぬと
*伝手があればどうにかして都にいる人たちに伝えたい。今日、あの白河の関を越えましたよ、と。

つかさ給はらで内わたりの人に
沢水に老いぬる影を見るたづの なくね雲井にきこゆらむやは
*沢の水面に映る自分の老いた姿を見て鳴く鶴。その声は空の上まで聞こえるのだろう。

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〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%85%BC%E7%9B%9B
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kanemori.html

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