和泉式部の歌~アルケーを知りたい(1054)

和泉式部は百人一首56番歌「あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな」の作者。
▼和泉式部の歌は面白いが多い。「世の中にあらまほしき事」として3首詠んだり、「偲んでくれる人もない自分だから、生きている間に自分であはれあはれと言っておこう」と歌ったり「どうしようどうすべきかという世の中で、世に背くと悲しいし世に従うと恨めしい」と歌っている。面白くて共感できる歌詠み人。

▼和泉式部 いずみ しきぶ
978天元元年 - ? 平安時代中期の歌人。越前守・大江雅致の娘。大江雅致は赤染衛門(59番歌)の夫・大江匡衡の兄弟。和泉守・橘道貞と結婚、娘が小式部内侍(60番歌)。橘道貞と離婚し藤原保昌と再婚。
藤原道長の評:浮かれ女。
紫式部の評:恋文や和歌は素晴らしいが、素行には感心できない。
1008(30)『和泉式部日記』

▼和泉式部の和歌と*勝手に解釈
ここちあしきころ、人に
あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな
*私がこの世からいなくなる思い出に、もう一度お目にかかりたいものです。

丹後国にて、保昌和泉式部の再婚相手)あす狩せむといひける夜、鹿のなくをききてよめる
ことわりやいかでか鹿の鳴かざらむ 今宵ばかりの命と思へば
*明日は保昌さんが狩りをするので、鹿が今夜限りの命と思って鳴くのはもっともなことです。

世の中にあらまほしき事 (三首)
おしなべて花は桜になしはてて 散るてふことのなからましかば
*すべての花が桜になって、しかも散るなどということがなくなると良い。

みな人をおなじ心になしはてて 思ふ思はぬなからましかば
*人はみんな同じ心になり、考え方の違いがなくなると良い。

世の中に憂き身はなくて をしと思ふ人の命をとどめましかば
*辛い身の上の人が世の中からなくなり、良い人が長命であれば良い。

題しらず
いかにせむいかにかすべき世の中を そむけば悲しすめばうらめし
*どうしようどうすべきかという世の中で、世に背くと悲しいし世に従うと恨めしい。

世間はかなき事を聞きて
しのぶべき人もなき身はある時に あはれあはれと言ひやおかまし
*偲んでくれる人もない自分だから、生きている間に自分であはれあはれと言っておこう。

よみ花のさきたるを見て
かへらぬは齢なりけり 年のうちにいかなる花かふたたびは咲く
*戻ってこないのは年齢です。一年の間にどんな花が再び咲くというのでしょう。

【似顔絵サロン】





















































































〔参考〕
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E6%B3%89%E5%BC%8F%E9%83%A8
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/izumi.html#VR

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