大伴旅人の酒を讃むる歌13首(4の4)~アルケーを知りたい(1083)

▼大宰帥大伴卿、酒を讃むる歌十三首の三回目。万葉集の347~350。
▼旅人って良いなと思う歌が続く。旅人の「楽しい」というキーワードが沁みる。

世間(よのなか)の遊びの道に楽しきは 酔ひ泣するにあるべかるらし 万347
*世の中にある遊びの中でいちばん楽しいのは、酔い泣きすることだよ。

この世にし楽しくあらば来む世には 虫にも鳥にも我れはなりなむ 万348
*この世で楽しく過ごせるものなら、来世は虫になっても鳥になっても私は良いぞ。

生ける者遂にも死ぬるものにあれば この世にある間は楽しくをあらな 万349
*生きている者は最後は死ぬのだから、この世に生きている間は楽しくないとね。

黙居(もだお)りて賢しらするは酒のみて 酔い泣きするになほ及かずけり 万350
*沈黙を守って賢ぶっても、酒を飲んで酔い泣きするのには及ばないのだ。

▼この一連の歌に続いて沙弥満誓が「世間(よのなか)を何に譬へむ朝開き 漕ぎ去(い)にし船の跡なきごとし 万351」と詠む。

大伴 旅人 おおともの たびと 
665天智天皇4年 - 731天平3年8月31日 66歳。
飛鳥時代~奈良時代初期の公卿・歌人。息子が大伴家持。主君は、文武天皇→元明天皇→元正天皇→聖武天皇
728(63) 大宰府に赴任、山上憶良・満誓らと筑紫歌壇を形成。

【似顔絵サロン】














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA

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